高成長が期待されるEV産業が揺籃、割安なインドネシア株式に投資機会
新興国市場の成長というテーマでインドが注目され、そのインフラ投資の拡大や消費市場の拡大を手掛かりにした投資信託が設定され高いパフォーマンスを残している。新興国の中で、特に、アジアに強みを持つイーストスプリング・インベストメンツはこのほど、「インドネシアのEVバリューチェーンの投資機会」と題したレポートを発表し、インドネシアでEV関連産業が大きな成長期待があると情報発信している。EVの動力源であるバッテリー材料のニッケル埋蔵量が世界最大を誇るインドネシアでは、EV関連の材料から部品まで幅広い事業者が育ちつつあるという。
EV用のニッケル採掘から、ニッケル精錬、EVバッテリー素材加工、そして、EVバッテリー生産へとインドネシア国内にはEVバッテリー製造にかかわるすべての事業者が揃っている。世界のニッケル供給量に占めるインドネシアのシェアは2022年に46%という圧倒的な存在感があり、2025年~30年にはシェアが60~61%に達すると予測されている。インドネシア政府は重要な鉱物資源を有する自国の優位性と投資誘致のインセンティブを活用し、EVサプライチェーンにおける重要なポジションを獲得しようと政策的に取り組んでいる。
インドネシア政府は、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を29%削減し、2060年、または、それより早く排出量を実質ゼロにすることを目標にしている。産業別にみて運輸部門は最大のGHG排出源の1つであり、運輸部門の中でも道路輸送がGHG排出量の90%近くを占めていると分析されている。そこで、政府としてEVの普及を図っている。現在、インドネシアにおけるEVの普及率は1%未満だが、2030年までに2輪車で6%、4輪車で2%に達すると予想されている。そして、政府は化石燃料を使用する新車販売を2輪車は2040年、4輪車は2050年までに禁止するとしている。
インドネシア政府は、2024年にEVに対する「奢侈税(ぜいたく品販売税)」を撤廃し、2025年まで輸入税を免除、EV販売に対する付加価値税を引き下げるなど、積極的にEV普及に取り組んでいる。EVモデル数も2021年以降は増加し、インドネシアの中間所得層が拡大するにしたがってEV4輪車の販売は、2024年から32年の間、年平均成長率で10%を達成するという予測もある。