パドレス・ダルビッシュ（2024年5月11日撮影）

＜マリナーズ3－7パドレス〉◇10日（日本時間11日）◇Tモバイルパーク 　パドレスのダルビッシュ有投手（38）が10日（日本時間11日）、敵地マリナーズ戦に先発し、5回2失点と踏ん張り、5月19日以来約4カ月ぶりの5勝目（3敗）を挙げた。これで日米通算201勝目（日本93、米国108）となり、ドジャースなどで活躍した野茂英雄氏に並んだ。 　制限リストから復帰した4日以来の2戦目の先発マウンド。序盤は、本来の勝負勘にズレが生じていた。1回、2回とも、仕留める前にソロ本塁打を浴び、2点を失った。だが、打線が逆転した3回以降は、本来の変幻自在の投球術を発揮した。「最初は速いスライダーを狙われていたが、途中から大きなスライダー系を使うと相手が迷いだした。3回から良くなった」。毎回走者を背負いながらも、徐々にギアを上げた。スイーパーやナックルカーブでカウントを整え、キレ味抜群のツーシームを主体にバットの空を切らせるなど、要所で5三振を奪った。 　日米通算201勝目。プロ入り20年目で野茂氏の数字に肩を並べた。現在、パ軍のアドバイザーを務める同氏とは、春季キャンプ中などに助言を受け、意見交換を繰り返す間柄。「投げていた時代、置かれていた状況が自分と全く違う。まだまだ手が届かないな、と正直に思う」。メジャーへの苦難の道を切り開き、情報やトレーニング方法も異なる時代に、黙々と白星を積み上げた先人に対する畏敬の念は変わっていない。 　約3カ月のブランクも、過去2試合で着実に取り戻してきた。前回と同じ63球で降板したが、最速は95・9マイル（約154キロ）をマークするなど、球威も着実に取り戻してきた。家族の事情で制限リスト入りしたとはいえ、その間、左股関節などの故障は完治し、体調面の不安はない。地区優勝、プレーオフ争いも残り16試合。「打倒ドジャース」に執念を燃やし、復活を遂げたダルビッシュには、プラス材料しかない。