「6度目の大絶滅」回避へ少年少女が糸口探す「アニマル ぼくたちと動物のこと」監督語る
公開中の映画「アニマル ぼくたちと動物のこと」は、16歳の少年と少女が世界各地の環境問題の現場を訪ね、そこで出会った学者や哲学者らと対話し問題解決の糸口を探る、フランス発のユニークなドキュメンタリー作品だ。来日したシリル・ディオン監督(45)に製作の狙いなどを聞いた。 ■希望のメッセージ <映画は、英ロンドンの少女、ベラ・ラックと仏パリの少年、ヴィプラン・プハネスワランという、ともに16歳の2人が〝主人公〟。ディオン監督と出会った2人は、気候変動、そして種の絶滅という2つの大きな危機の核心に迫ることを決意し、「6度目の大量絶滅」を食い止める糸口を探ろうと、世界を巡る旅に出る> --2人は世界各地で学者や哲学者らとの対話を重ね、成長していきますね。ドキュメンタリーですが、ドラマチックでもある。また、驚きの映像も目にすることができます。製作の経緯を教えてください 「『6度目の大量絶滅』についての映画を作らないかと持ちかけられたことがあって、でも、そのときは、忙しくて断ったんですよ」 <地球は6度目の「大量絶滅期」を迎えていると指摘する科学者がおり、種の多様性は失われ、50年後、人類も生存していないと警告する声がある> 「問題の根源をたどる映画を作ったら、これは面白いのではないかと思い直し、この作品に取り掛かったのです」 「未来に希望が持てない若者が増えましたから、希望を取り戻してあげたい。環境問題の解決の道筋を示すことで、若い世代に向けて、なんらかのメッセージを発信しようと考えたのです」 ■搾取のための自然ではない <ベラとヴィプランは、インドのムンバイの海辺でプラスチック汚染の現場を目の当たりにする。フランスでは、温室効果ガス排出量の約15%を占める畜産業の実態を知り、動物行動学者から動物と人間の関係について学ぶ。ケニアの大草原ではゾウからアリまでさまざまな生物が生態系の均衡を保つ役割を担っていることを教わり、コスタリカでは大統領から自然再生のノウハウを伝授される> 「フランスの昔の哲学者、デカルトの『機械論的自然観』では資源は搾取されるものだとしていましたが、映画の中で2人が出会うフランスの哲学者、バティスト・モリゾ氏は、自然と共生すべきと言明します。このデカルト的思考の上書きも、この映画のメッセージになっています」