「AIブーム」に警鐘…個人投資家が「AI関連銘柄」への投資に慎重になるべき3つの理由【株式投資のプロが解説】
その企業がAIでどれくらい儲かるかどうかわからない
また、本当に社会を変えるようなAIの商用利用が実現したとしても、その企業がAIでどれくらい儲かるかどうかわかりません。技術の進歩とビジネスの成功はまた、別の話なのです。その会社が、AIを利用した製品やサービスで獲得できる市場は、意外に小さいかもしれません。研究開発費など、かかる経費をうまく回収できないかもしれません。そして投資家としても、比較すれば「AI無関係銘柄」に投資をしたほうが儲かった、ということも起こりえます。 メディアの情報には、そのような「ビジネスとしての採算」が報じられることはそうありません。「この製品・サービスが社会をこう変える!」という興味深いニュースはよく流れるかもしれませんが、一体それがいくらの売上になり、その 会社の利益がいくら増えるのか、というのはあまり検討されません。また、そんなことはそもそもわからないのかもしれません。しかし株式投資をする人は、そこを気にするべきでしょう。
株価が過剰に高くなっているかもしれない
そして、そんなAI関連銘柄の株を買うならば、株価が過剰に高くなっていないかどうかにも注意が必要です。 そのような人気分野の銘柄は、異常に株価が高くなっていることがめずらしくありません。「社会を変える会社に投資をしたい」「この分野は伸びて大儲けできるだろう」という投資家の気持ちがその原動力となるのでしょうか。しかし、その状況下で株を買ってしまうと、大損をする可能性もあります。やはり、慎重な判断が必要となるのです。 1990年代後半に起きた「ITバブル」はその一例です。パソコンとインターネットの普及により「世のなかが変わる」と思った投資家たちが、IT関連分野の株価を高騰させました。しかし、やがてそのバブルは崩壊します。そして、その後ずっと当時の株価を超えられないIT企業もあります。バブル時にその株を買った人は、大損をしたのです。
わからないことに大きく賭けるのは危険
AIが本当に社会を変えるかどうかわかりません。 また、本当に社会を変えるようなAIの商用利用が実現したとしても、その企業がAIでどれくらい儲かるかどうかもわかりません。 そして、その企業の株を買うとしても、それが適正 価格かどうかもわかりません。 わからないことに大きく賭けるのは危険ですので、AI関連銘柄への投資には慎重になったほうがよいでしょう。 川合 一啓 株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO