コロナ後遺症は「最大500万人」リスクを訴え続けてきた医師「新たな国民病」と危機感 理解不足で孤立する患者も多く、支援態勢の整備が急務
理化学研究所と京都大学は人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の心臓のミニ組織を使った実験で、感染が続くと心不全のリスクが高まる可能性があると米科学誌に発表した。心臓組織にウイルスが残り続け、虚血性心疾患のような低酸素状態になると、ウイルスが再び活性化することが示されたという。 理化学研究所の升本英利上級研究員(京大病院特定准教授)は「体内にウイルスが残り続けると、症状がない人も将来心不全につながる恐れがある。新型コロナとの共生に向け、診断方法や治療の研究が重要だ」と指摘した。 ▽新たな変異株の流行で「第10波」との見方広がる 「全国コロナ後遺症患者と家族の会」は昨年12月、国の支援は不十分として、傷病手当の延長や社会保険料の減免などを求める要望書を国に提出した。今冬に入り新たな変異株「JN・1」が流行の主流とされ、厚生労働省の集計では11週連続で新たな感染者数が増えている。 昨年夏の流行ピーク時に匹敵する規模が続き、流行「第10波」との見方が広がる。海外では後遺症による労働力人口の減少で、多額の経済的な損失が生じるとした推定もある。
平畑さんは、治療が必要な国内の後遺症患者は感染者全体の1~2割、400万~500万人程度とみる。医療現場では、治療薬の早期活用で症状が軽減するとの声もあるという。「新型コロナ後遺症はもはや、がんやうつ病と並ぶ『新たな国民病』といえる。政府は後遺症への理解を促すと同時に、最適な支援の仕組みを早急に用意する必要がある。国の対応が遅れて自殺者が出たり、働けない患者が増えたりするぐらいなら、素早い支援で後遺症の悪化を未然に防いだほうが社会全体の損失は抑えられるはずだ」と訴えた。