僕だけが若い!!“見た目は高校生、中身は大人”!?タイムスリップのようでそうでない漫画の作者に聞く
この漫画はタイムスリップもののようで、単なるタイムスリップ漫画ではない。タイムスリップをしたように見せかけて、実は主人公だけが高校生に戻ってしまっている(若返ってしまっている)という設定の漫画なのである。中身は大人なのに、高校の授業を受け、試験勉強に苦戦し、きつい部活に参加して、「学生、しんどい…」ということを思い知らされる。タイムスリップだったら、宝くじか競馬で大儲けするという魅惑的なこともできただろうに…。主人公はもとの自分に戻れるのだろうか? 【漫画】本作品を読む 本作を描いたのは、乃(@no_2n2ru10)さん。2022年4月期「新世代サンデー賞(小学館)」で奨励賞を受賞し、最近では2024年4月期「モーニング月例賞(講談社)」で奨励賞を受賞した新進気鋭の漫画家兼イラストレーターである。 本作「青春サジェスチョン」で時間が巻き戻ってしまったのは、高校教師をしていた鳳(おおとり)先生。高校生に戻ったことにより、それまで教師という立場では見えてこなかった、生徒たちの本当の姿を垣間見ることに…!作者である乃さんに詳しく話を聞いてみた。 ――高校教師の主人公“だけ”が高校生に戻っているという設定で、単なるタイムスリップより戸惑っている主人公の行動がおもしろかったです! ありがとうございます!たくさん戸惑ってよかったね、鳳先生! ――この設定にした理由や、着想のきっかけについて教えてください。 設定は家族との会話の中で生まれました。当時よくタイムスリップをする漫画を読んだり、映画を観たりしていて、その感想を話しているときに「タイムスリップしてるようでしてないってどうかな?」みたいなことを言った気がします。本作「青春サジェスチョン」は処女作だったこともあり、いざ描いてみたらまぁとんでもなく難しくて。自分の好きなタイムスリップを取り入れたことでなんとかモチベーションを保てました。世の中のタイムスリップ作品すべてに尊敬&感謝です。 ――ギャグ要素も交えながらテンポよく展開していきますが、とても深いセリフを随所に見かけました。本作に込めた想いとは? 冒頭で主人公の鳳先生が語った「大人はずるくて、夢をおしつけてきて、話聞いてくれなくて、頑固でプライドが高い」というセリフは、私自身が子どものころに大人に抱いていた印象そのままです(だいぶひねくれた子どもだったと思います)。自分が大人と呼ばれるようになった今、自分が子どもたちからそう思われないためにどうしたらいいのかを考えた結果が、「誰かに選ばれる大人になろう!」というセリフでした。描き終えてから数年経って、それがいかに曖昧で難しいかを痛感しています。鳳先生にはがんばってほしい! ――本作「青春サジェスチョン」は処女作とのことですが、最新作について教えてください。 ありがたいことに「敬語って必要ですか?」という作品が、2024年4月期の「モーニング月例賞(講談社)」で奨励賞をいただきました。現在、漫画WEB「コミックDAYS」で掲載中です。読んでいただけたら泣いて喜びます。ポジティブなご感想いただけたら泣きながら腹太鼓して喜びます。今後、どんな形であろうと漫画を描くことはやめないつもりなので、もしどこかで見かけたら、やさしく見守っていただけますと幸いです。 本作のラストでは、鳳先生だけがタイムスリップをした理由が明らかに!!鍵を握っていたのは女子高生だが、この生徒の正体に驚かされる…!!最後までお楽しみあれ! 取材協力:乃(@no_2n2ru10)