上空から見ると“人間の指紋”のようなウルグアイの森にネット驚愕…謎に迫った動画が100万回再生
ヒントは土地の傾斜
ヴォックスが取材を進めた結果、理由が判明する。ウルグアイで農業技術を研究するINIAのゴンザロ・クロサ氏は、森がなぜあのような姿をしているのかと質問した記者に対し、ややあって「疑問ももっともですね」とでも言うかのように笑顔を浮かべた。続いて氏は、謎の答えを明かす。 「樹木のような大きな植物を植えるときは、土壌の地形を考慮する必要があります。そこで通常、全体的に、地形(標高)に沿ったラインを描くのです」 傾斜地で作業員や車両が植え込みを行う際、高さの同じ方向に沿って作業を進めた方が、効率が良いのだろう。 「そうした結果、カーブやスパイラルなど、不思議なパターンになることがあります。上空から見ると、時としてこうしたパターンは、とてもとても興味深いことがありますね」 航空写真では高さの変化が分かりづらくなるため、平地に突如として指紋が現れたかのような錯覚につながった。奇妙なパターンの正体は、等高線に沿って植林を進めた結果だったようだ。同様の森はブラジルの一部など、ウルグアイ以外でも見られることがあるという。
「奇跡」の植林プロジェクト、その光と影
この植林プロジェクトは、ウルグアイの森林被覆面積を増やし、木材パルプ産業を発展させるため、国家プロジェクトとして行われた。成功を収め、「奇跡のプロジェクト」とも称されている。 一方でプロジェクトには、環境や生態系への影響が指摘されている。単一種の木々で構成されているため、周辺地域にすむ動物の多様性が失われたことが調査で分かっている。木材輸送の鉄道網を整備するため、立ち退きを迫られる住人も出ているようだ。 ネット掲示板で話題を呼んだ1枚の写真から、大規模な植林プロジェクトの功罪に光が当たる、思わぬ着地となったようだ。
文:青葉やまと