被害者は“自称・元暴力団の相談役”のアウトロー系配信者 “家族5人”で犯行に及んだワケとは 元刑事が追跡「娘のために何かしてあげたいという気持ちで加担」 多摩川スーツケース遺体事件
遺棄現場からおよそ1キロ離れた場所に容疑者家族が住んでいた都営住宅があり、舞容疑者と兄、母親の3人で暮らし、父親は離婚して千葉で暮らしていたという。容疑者の隣に住むMさんに話を聞くと、「(母親は)一度も見たことない。娘と息子には何回も会っている。ゴミを出したりなんだり、必ず二人で外出する。兄がボディガードのようだった」という。実は被害者の原さんと思われる男性の姿も目撃していたそうで「見たのは一回だけ。野球帽をかぶって、『こんにちは』と声かけられた」と話した。 改めて事件の経緯を振り返る。捜査関係者によると、原さんが多摩川に遺棄されたのは2023年12月中旬とみられ、この頃、原さんは容疑者宅を訪れていたことがわかっている。その後、原さんを知る人たちの間では原さんが『行方不明になった』『何か事件に巻き込まれたのでは』と心配する声がSNSに書き込まれた。そして、原さんの遺体は12月29日に多摩川で発見された。完全犯罪を企んだのか、すでに死亡していた原さんのLINEを使って知人とやり取りするなど、偽装工作を行った疑いがある。 家族ぐるみの犯行としてもう一つの謎が、父親・昌浩容疑者の存在だ。昌浩容疑者は妻・美保容疑者と離婚しており、一緒に暮らしてはいなかった。父親が暮らしていた自宅周辺で話を聞くと近隣住民は「そんな風には見えなかった」「『おはようございます』『どうも』と返してくれる、穏やかなご主人でした」と印象を語った。そんな昌浩容疑者がなぜ犯罪に加担したのだろうか。Mさんによると、昌浩容疑者と原さんとみられる男性が頻繁に都営住宅に出入りする姿を目撃したという。原さんは自身の動画内で「お父さんが入ってきて、金、金、金、金…全部俺が悪いみたいに」と語っていた。離婚し別居していた父親も金銭トラブル解決に関わっていたのだろうか。
明星大学心理学部の藤井靖教授は「内集団バイアスという言葉もあり、『うちの子が言うことが一番正しくて、それが尊重されるべき』となると、ちょっといびつな行動に出る。危機的な状況になればなるほど家族の一体感は高まり、お互いがお互いをより助け合って結びついてトラブルをこう乗り越えていこうという発想になるのが自然」とした上で、「遺体を自宅近くにとにかく早く捨てたい。誰かがそれを言い出して、みんなが同調したのではないか」説明した。 事件を取材した秋山氏は、父親が犯行に加担したことについて「過去の捜査でもあったが、離婚しても舞容疑者にとってはお父さん。やはり溺愛している。お父さんからすると、舞容疑者が被害者に脅迫されたり、お金を使われたりしたということで、可哀想だな、舞のために俺が何かしてあげたいという気持ちで加担したと思う」とした。 また、家族ぐるみで犯行に及んだことについて、「家族ぐるみの事件では、正当化する、被害者の悪口ばかりを言う。今5人のうち4人は自白している、殺害もほのめかしている状態。これは犯人の心理からすると、自分の不利益になることは隠そうとするが、被害者のことはいろいろ言う。自分たちを正当化して、被害者の悪口ばかり言っている状態だと思われる」と推察した。 (『ABEMA的ニュースショー』より)