「ソファの向きが決め手」 一級建築士が解説する、幸せな老後のための“部屋作り”
こんなソファはNG! □家族に背を向けている □昼間に外の光を感じられない □壁に向くなど外の景色が感じられない □誰かひとりの私物で占有されている □視界に室内物干しがあるなど、物が多く □雑然としている 「ソファは家族が集まり、くつろぐ場所。デザインのよさだけでなく、置く場所や座ったときに見える景色が重要です」(高原さん)
一人で気兼ねなく使える場所を確保!
さらに、老後を見据えた部屋づくりだからこそ重要になるのが2つ目のポイントである「パーソナルスペース」だ。 「1つ目では夫婦の会話や一体感につながる家具の配置を推奨しましたが、夫婦だけの老後生活を考えるとそれだけでは、いま一歩。 小さな子どもがいる家庭とは異なり、長年一緒にいる大人だけの暮らしでは、いい塩梅の“距離感”が持てる空間が必要だと感じます」 自分の趣味のものや本、パソコンが置けるコーナーをつくるのはもちろん、キッチンにも好きな食材や調味料などをストックできる場所がそれぞれにあるとよい。 「重要なのは、個々のスペースはお互いに干渉しないこと。その場所の掃除や管理は各自で行うようにすることです。 好きなようにできる場所があることで、互いに頼らず自立できるきっかけになります。このおかげで夫が料理好きになり、自己肯定感が高まって、いきいきしてきたという声も」 リタイアした夫が「家に居場所がない」、「やることがない」とネガティブ思考に陥って、うつ病や認知症につながるリスクも軽減できるはず。夫婦だからと何もかも“共用”がよいわけではないのだ。 「大型のソファを手放し、1人掛けのソファ2脚に買い替えたご夫婦もいました。それまでは、2人掛けのソファで横になる夫に“ちょっと起きて”とひと声かけて座っていたそうですが、専用をつくることで、ケンカが減ったそうです。 たとえ椅子1つでも、相手に気兼ねなく、思いどおりに過ごせる場所があると、生活は大きく変わります」