英国最多キャップ保持者の英雄。スティーブン・デイビスが39歳で現役引退
特別な才能を持つ北アイルランドの英雄
彼はレンジャーズで殿堂入りするほどのレジェンドだが、何より北アイルランドの英雄である。2005年に代表デビューを果たすと、17年間に渡って北アイルランド代表の心臓部として走り続けた。2012年から正式にキャプテンに就任すると、2016年には北アイルランドを初めてEURO出場に導いて本大会ではベスト16に入ってみせた。 そして2021年に代表通算126試合目のピッチに立ち、元イングランド代表GKピーター・シルトンが持っていた英国人の代表最多出場記録を更新。その後も試合に出続け、最終的には「140試合」という偉大な記録を打ち立てたのである。2017年に大英帝国勲章まで授かったデイビスは、実直なプレースタイルを売りとする選手だったが、彼を見てきた監督たちは「特別」な才能と呼んだ。 サウサンプトン時代に彼を指導したマウリシオ・ポチェッティーノ(現チェルシー監督)は「シャビやアンドレス・イニエスタといった選手と比較すべき才能」と絶賛したことがある。「ゲームを組み立てる能力、試合の流れを読む知性、そして走力。クリスティアン・エリクセンにも近いかもしれない。チームをより良いものにしてくれる選手なんだ」 北アイルランド代表を率いたロウリー・サンチェスは「もう1人のフランク・ランパード」と称えたことがあるし、レンジャーズを率いたスティーブン・ジェラードは瞬時に情報を処理するデイビスを「フットボールの研究家」と呼んだ。 監督に愛され、何よりチームメイトに愛されたレジェンドは39歳で現役生活に別れを告げた。「今は家族との時間を大事にしたい」と語ったデイビスだが、その先のことも考えている。「コーチライセンスを取得して、その道に進みたい」と、英国最多キャップ保持者は新たな一歩を踏み出す決意を口にしている。