バフ仕上げの純正ホイールにタンカラーの本革シートで楽しむ様式美も備えたオープンカー|マツダ戦記|1997年式 ユーノス ロードスター Vスペシャル タイプⅡ
1960年代のイギリスを発祥とするライトウエイトスポーツカー その名の通り、軽量コンパクトなボディによって軽快な走りを楽しめることが最大の魅力で、イギリスではMGBやロータス・エラン、トライアンフ・スピットファイアなどが大ヒット。 日本でもホンダS600/800、トヨタ・スポーツ800が登場するなど、ライトウエイトスポーツは世界的なブームとなった。 しかし、70年代に入ると排ガス規制や安全基準の強化などから多くのモデルが消滅し、その後しばらくは市場から姿を消してしまった。 【画像15枚】クルマを操る楽しさを追求したライトウエイトスポーツ。全車にバケットタイプのハイバックシートを装備。タンカラーの本革シートはVスペシャル系すべてに採用された。ヘッドレストスピーカーも内蔵する そんな状況を一変させたのがユーノス・ロードスターだった。 シカゴモーターショーで先行発表され、その後1989年9月に国内デビューしたロードスターは、正真正銘のライトウエイトスポーツ。 軽快で素直な運転感覚が得られるFRレイアウトとし、サスペンションはマツダ初の4輪ダブルウイッシュボーンを採用。 トランスミッションとデフを結合するパワープラントフレームによって、ダイレクト感のあるドライバビリティを実現した。 また、必要のないものは極力そぎ落とし、ライトウエイトスポーツの本質である「軽さ」を実現したのである。 初代ロードスター、8年にわたるモデルライフの変遷とスペシャルな特別仕様車 ユーノス・ロードスターのエンジンは、ファミリアに搭載されていた1.6リッターDOHCのB6型を改良して搭載。 最高出力は120psだが、1トン未満の軽量ボディには十分なパワーだ。 また、前後オーバーハング部分の軽量化を図るために、エンジンを可能な限り後方へ搭載し、燃料タンクはリアの車軸より前にレイアウト。 加えてフロント部の重量負担を軽減させるために、アルミボンネットを採用したりバッテリーをトランクに移設するなど、重量配分にも徹底的にこだわって開発された。 そして93年にはマイナーチェンジを行い、エンジンを1.8ℓのBP型へチェンジ。 B6型よりも10 ps/2.0㎏‐m向上し、一部で指摘されていたパワー不足を改善するとともに、ブレーキ強化やボディ剛性アップなどが図られた。 こうして約8年というモデルライフを送ったロードスターには、限定車や特別仕様車を含め、さまざまなグレードが存在する。 標準車のほかに、ウッドのステアリングやシフトノブを採用し、タンカラー内装としたVスペシャルのほか、BBS製ホイールやビルシュタイン製ダンパー装備のSスペシャル、イエローのボディカラーを採用したJリミテッドなどとにかく多彩。 さらに、マツダのグループ会社であるM2が企画した「M2・1001/1002/1028」なども存在する。 数々のロードスターを乗りついだオーナーがたどり着いたVスペシャル この個体は、Vスペシャルにタンカラーのソフトトップとバフ仕上げのホイールを装着した同タイプⅡ。 オーナーは、コンパクトなスポーツカーが好きでロードスターを選んだ。 まず2004年に2代目NBロードスターを購入し、2014年にM2・1001を増車。 その翌年にNBと入れ替えでVRリミテッドAを入手し、現在は約2年前に手に入れたVスペシャルタイプⅡのみを所有している。 この車歴を掘り下げると長くなるので割愛するが、最終的にVスペシャルを選んだのは「ロードスターの基準となるモデルを気軽に乗りたかったから」。 そんなオーナーは、若かりし頃乗ったS600やヨタハチを思い出しながら、日々オープンスポーツを楽しんでいる。 「気軽に乗れるスポーツカーとして、これ以上のクルマはないと思っています」と、完全にロードスターにほれ込んでいるオーナー。 オーナーはこれまでにさまざまなクルマに乗ってきたが、これほど楽しいクルマはないと言う。 そして、「ヒラヒラと軽快にコーナリングできる感覚が最高です。 ただ、ガンガンに攻めるようなクルマではないと思っています」と、持論を展開。 今後もオリジナルのまま、現在の状態を維持していきたいそうだ。 主要諸元 SPECIFICATIONS 1997年式 ユーノス ロードスター Vスペシャル タイプⅡ (NA8C) ●全長×全幅×全高(㎜) 3955×1675×1235 ●ホイールベース(㎜) 2265 ●トレッド前/後(㎜) 1405/1420 ●車両重量(㎏) 1030 ●エンジン型式 BP-ZE型 ●エンジン種類 直列4気筒DOHC ●総排気量(cc) 1839 ●ボア×ストローク(㎜) 83.0×85.0 ●圧縮比9.0:1 ●最高出力(ps/rpm) 130/6500 ●最大トルク(㎏-m/rpm) 16.0/4500 ●変速比 1速2.458/2速1.458/3速1.000/4速0.720後退2.400 ●最終減速比 4.100 ●ステアリング ラック&ピニオン ●サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも) ●ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク ●タイヤ 185/60R14(前後とも) ●発売当時価格 249万円 初出:ハチマルヒーロー vol.47 2018年 5月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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