安岡蒲鉾の「玉ねぎ天」

　食品製造や農作物管理の過程で生まれる残さを廃棄するのではなく、新しい用途を見つけ再利用する動きが各地で広がる。資源としての価値を見いだし、肥料にして野菜作りに利用したり多様な使い方が生まれている。 【写真】残さを利用した肥料「粒状媛まごころ」 　魚のすり身を揚げた愛媛県宇和島市の伝統食品、「じゃこ天」を製造販売する安岡蒲鉾（かまぼこ）は、製造過程で出る魚の残さを肥料原料として再利用する。循環利用を加速させるため、残さ肥料で栽培したタマネギを買い取り、「玉ねぎ天」の材料として利用する。 　同社によると、かまぼこやじゃこ天などの製造時、ホタルジャコや真アジ、エソの骨や頭などの残さが1日当たり500～800キロ出る。それら全てを廃棄処分せず、乾燥や脱水、発酵処理などの作業を重ねて肥料化して、業者に供給している。

さらに「玉ねぎ天」の材料に

工場で発生する残さ（愛媛県宇和島市で）

　残さ肥料の利用をさらに広げたいと考え、地元農家に供給することにした。循環利用を見据え、残さ肥料で栽培した野菜を同社商品の材料として農家から購入する。 　まずは野菜の中でも使用量が多いタマネギを栽培してもらい、「玉ねぎ天」の材料に使う試みを開始。初年度は1戸から引き受け、連携する農家を順次増やしていきたい考えだ。 　同社の安岡弘和取締役は「農家と連携して資源活用の輪を広げ、伝統のじゃこ天やかまぼこの価値をさらに高めながら、地域にも貢献していきたい」と話す。