まちのり利用、最多29万人 金沢市、昨年度
●観光客増、市民に浸透 ●来年度ポート増計画 金沢市が提供する公共シェアサイクル「まちのり」の昨年度利用者数が2022年度同期比17・8%増の29万8521人となり、過去最多を更新したことが18日、市のまとめで分かった。昨年5月のコロナ5類移行に伴う観光客の増加や、通勤など市民の移動手段としての認知度アップ、駐輪ポートの効率的な再配置が要因とみられる。市は来年度からポートを増やす計画で、さらなる利用拡大を目指す。 市によると、昨年度利用者数の内訳は、その都度利用する「1回会員」が15万6230人、月額会員が13万2299人、1日パスなどが9992人だった。 月別では4~10月、12~2月の各月で前年同月を上回り、特に12月は67・7%増、2月は55・3%増と飛躍的に伸びた。行楽シーズンの10月が3万2785人と最も多く、9月の3万2266人、8月の3万1433人と続いた。 市は観光客数の回復に加え、自転車の適正配置が利用者増加につながったとみている。利用回数は前年比15・2%増の48万1967回となり、台数、日数で割った「回転率」も2・93と前年2・55を上回った。 利用者数はその後も順調に推移している。今年4月は前年同月比37・7%増の3万1095人で、同27日~5月6日の大型連休期間は1万1703人となり、初めて1日平均で1千人を超えた。 まちのりは2012年3月、公共レンタサイクルとして供用を始めた。20年3月以降は市公共シェアサイクルとして、ポート数を21カ所から75カ所、自転車数を155台から500台に増やし、どのポートでも24時間いつでも借りて返すことができるようにした。 市は来年度から5カ年の次期計画でポート数を約120カ所、自転車数を約1千台に拡大すると盛り込んでおり、まずはポート約100カ所、自転車700台以上で計画をスタートさせる。中心市街地や重要な交通結節点のほか、鉄道やバスと組み合わせた利用促進が見込めるエリアを中心に新規ポートを設置する考えだ。 ●ヘルメットの貸し出し587個 昨年度にまちのり利用で貸し出したヘルメットの数は、市のまとめで延べ587個となった。このうち、まちのり事務局(此花町)で貸した分が583個と大半を占めた。 市は事務局や市交通政策課、金沢蓄音器館など7カ所で65個の貸し出し用ヘルメットを用意している。昨年4月に自転車のヘルメット着用の努力義務が全年齢に拡大されたことを受け、市は動画作成や街頭での着用啓発を強化している。