ネットワーク効果は、現代経営における成功の鍵であり、企業の収益を飛躍的に向上させる可能性を秘めている。しかし、それは単にユーザー数が増えるほど製品の価値が高まる、従来の電話網のような20世紀型のネットワーク効果だけではない。 21世紀の経営においては、企業はさらに一歩進んで、顧客を価値の共同創造者として巻き込む必要がある。たとえば、アルファベット、アップル、アマゾン、マイクロソフトなどの大手テック企業や、X、フェイスブック、Airbnb、Uber、LinkedInなどのソーシャルネットワーキングサービスなどだ。e.l.f. Beautyのように顧客を積極的に巻き込み、目覚ましい成果を上げている企業もある。 ■指数関数的なネットワーク効果を理解する 20世紀型経営と21世紀型経営におけるネットワーク効果の違いの根底にある原則を以下に示す。 ●なぜ20世紀型経営ではネットワーク効果が限定的なのか？ 20世紀型経営では、収益を追求する硬直的で活気のないトップダウン型のプロセスが中心となっているため、指数関数的なネットワーク効果を生み出すことができない。20世紀型経営の特徴は以下の通りだ。 ・創業者が収益を得るためのアイデアを生み出す ・経営者は従業員を雇い、そのアイデアを実行するために硬直的なトップダウン型プロセスを適用することを要求する ・従業員は、企業のために収益を上げるために、硬直的なトップダウン型プロセスに従って製品やサービスを販売する ・企業は販売によっていくらかの収益を得るかもしれない ・しかし、この一連の流れは、硬直的なトップダウン型プロセスによって推進されている ・従業員や顧客は、トップダウン型プロセスによって操作される「資源」として扱われ、企業やその製品に対して愛着や熱意を感じることはほとんどない ・その結果、多くの顧客が、企業自身やその製品の熱心な推奨者になる可能性は低い