出頭拒否の尹大統領、弁護団結成へ…全面的に争う姿勢 弾劾審判は長期化の可能性
【ソウル山口卓】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣言後の対応を巡り、尹氏を支援する石東炫(ソクトンヒョン)弁護士は19日、国会議員らを逮捕するよう尹氏が指示したことはないとして、内乱罪には当たらないと改めて主張した。尹氏は憲法裁判所の弾劾審判に自ら出席して法廷で反論する意向。高官犯罪捜査庁(高捜庁)の捜査に対しても弁護団を結成して全面的に争う構えで、尹氏の「次のカード」に注目が集まっている。 【写真】19日、ソウルでメディアの取材に応じる石東炫弁護士 石氏はこの日、記者団に「尹氏は内乱とは考えたこともない。記者会見を通じて宣言する内乱などない」と強調。国会議員らの逮捕を指示したとの証言については「尹氏も法律家だ。なぜ(大統領が)逮捕命令を出すのか」と否定した。 弾劾審判には「尹氏が憲法裁に直接乗り出すだろう」と話した。尹氏は近く弁護団を結成する予定で、尹氏の先輩検事で尹政権の放送通信委員長を務めた金洪一(キムホンイル)氏を団長とする案が有力視されている。 憲法裁は27日に最初の弁論準備期日を設定。争点を整理し、裁判進行計画を立てる手続きだ。早ければ来月にも正式な弁論が始まるとみられる。 韓国通信社ニューシスは、憲法裁は早ければ2月、遅くとも4月までに判断すると報道。一方、尹氏が内乱罪で起訴されて裁判が始まると、弾劾審判が長期化する可能性も指摘する。 憲法裁法51条は「弾劾審判請求と同じ理由で刑事訴訟が進行している場合、裁判所は審判手続きを止めることができる」と規定。同社は、尹氏側がそれを根拠に審判の停止を要求する可能性があると分析する。 ただ、審判の停止は憲法裁が判断し、尹氏側の要請は受け入れないとの見方が強いとも伝えている。 聯合ニュースは、尹氏が憲法裁に職務停止解除の仮処分を申請する可能性にも言及。憲法裁が仮処分を認めたケースはないが、決定を遅らせる戦略として提起する可能性があるという。 一方、内乱罪の捜査は高捜庁に一本化された。尹氏はこれまで警察や検察の出頭要請に一切応じていない。石氏は「尹氏は弾劾審判で必要な主張をするとみられるが、捜査機関にもそう対応するか不明」とした。 金龍顕(キムヨンヒョン)前国防相らは内乱容疑などで逮捕されている。聯合によると、捜査当局は尹氏が正当な理由なく出頭要請に応じない場合、逮捕状を請求することを検討しているという。