石川の最低賃金984円 審議会答申、過去最大51円増
●2年連続目安超え 石川地方最低賃金審議会は9日、石川県内の最低賃金の時給を51円(5・46%)引き上げ、過去最高の984円とする改正を賛成多数で決め、八木健一石川労働局長に答申した。増加幅は現行方式となった2002年度以降で最大となり、中央審議会が示した目安50円増に1円を上乗せした。全会一致での結論に至らなかったのは10年ぶりで、目安額を上回るのは2年連続。改定額は最短で10月5日に発効する。 今年度の改定額を巡っては、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が引き上げ幅50円、全国平均で時給1054円を目安とすることを決定。例年、上げ幅の目安額は経済情勢に応じて各都道府県をA、B、Cの3段階に分けて示しているが、今年は3年ぶりに差を付けず、一律で50円とした。 八木局長は7月11日に石川の審議会に対し、現行の県内最低賃金933円の改定を審議するよう諮問。審議会は専門部会を設け、計5回の審議を経て引き上げ額を決めた。 審議では、労働者側が人材確保や定着といった観点のほか、現行の時給が15円高い富山県との格差是正が必要とし、目安額以上の引き上げを求めた。一方、使用者側は能登半島地震で多数の中小・小規模事業者が被害を受けており、目安額は実態に即していないと反発していた。 ただ、被災者の生活再建や物価上昇を考慮した賃上げは必要との認識は共通しており、9日の審議では、労使の調整を担う公益委員が51円増を提案し、出席した委員14人のうち12人が賛成した。 答申では、被災事業者に対する支援策を拡充することを国と石川県に要請した。答申に対する異議申し立ては26日まで受け付ける。 ●福井53円増で石川と同額に 福井県の審議会は9日、中央審議会の目安額を3円上回る53円増で決着し、県内最低賃金の時給は石川と同額の984円となった。富山県の審議会は目安額通り50円増の998円で答申している。