給与明細は「豊かな人生を送る第一歩」 元国税局芸人が「毎月確認」を推奨する理由
保険料は給料から天引きされる
控除額は、給料から天引きされているものです。 控除をおおまかに分けると、社会保険料、労働保険料、所得税、住民税の4つになります。社会保険料はさらに、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料などに分かれます。 労働保険には、労災保険と雇用保険の2つがあります。 パート・アルバイト社員で1週間20時間以上の労働時間があり、31日以上の雇用期間が見込まれる場合、会社は雇用保険に加入する義務があります。 雇用保険に加入すると給料から保険料が天引きされますが、条件を満たせば失業手当や育児休業給付金などを受け取ることができるというメリットがあります。 条件を満たしているのに、はなから「パートやアルバイトは雇用保険に入れないよ」という会社もありますので注意しましょう。 給与総支給額からこれらの控除額を引いた差引支給額が、実際に手にするお金です。
新入社員は住民税の対象外
住民税は、前年の所得に対してかかります。その年の6月から翌年5月にかけて、12回に分割して給料から天引きという形で納めます。 ですから、前年に所得がなければ通常住民税は発生しません。新卒2年目の社員の方が前年より給与が下がったと思うのは、1年目は住民税が引かれていなかったからです。 別の会社に転職した場合は、引き続き転職先で給料から天引きという形で住民税を支払います。 退職する時期や転職先が決まっているかなどによって住民税の支払い方法が違いますので、注意が必要です。
会社員は源泉徴収されている
会社員の方の所得税は、給料から天引きされています。 会社は給与を支払う際に所得税を徴収して、翌月10日までに国に納税しなければなりません。これを源泉徴収といいます。 源泉徴収は、個人事業主の方などが行う確定申告と同様に累進課税です。つまり、課税対象の金額が大きくなるほど税率も高くなり、納税額が多くなります。 本来、1年間の収入や控除額が確定していなければ税率や所得税額も決めることはできませんが、会社員の方は「給与所得の源泉徴収税額表」に則り、年間所得金額確定前に所得税相当額を源泉徴収するのが一般的です。 年末調整では、源泉徴収額よりも実際の所得税額が少ない場合はすでに納めた税金が還付され、源泉徴収額よりも実際の所得税額が多い場合は追徴されます。 ■さんきゅう倉田 芸人。ファイナンシャルプランナー。1985年神奈川県生まれ。大学卒業後、国税専門官採用試験を受けて東京国税局に入局。同局退職後、吉本興業の養成所NSCに入学し、芸人となる。Twitterなどで発信した税やお金の情報が話題となり、執筆や講演等の仕事を増やす。以来芸人として活動し、現在は税理士会、法人会などでの講演に加え、『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『ダイヤモンド・オンライン』『プレジデント・オンライン』『マイナビニュース』『税と経営』などでも税や経済についての記事を執筆、好評を得ている。2023年東京大学文科二類に合格し、東京大学に在学中。
さんきゅう倉田