エース村上太一が2失点完投 「憧れるのをやめましょう」で2連敗中のライバルを撃破 西日本短大付が3年ぶり甲子園【高校野球福岡大会】
◆第106回全国高校野球選手権福岡大会決勝 西日本短大付5―2福岡大大濠(24日・北九州市民球場) 「三度目の正直」で夢を実現した。西日本短大付が昨秋、今春と敗れた福岡大大濠を倒し、3年ぶりの甲子園切符をつかんだ。「選手がギリギリで頑張っている姿を見て、本気でやる素晴らしさを教えてもらった」。西村慎太郎監督は試合後も涙が止まらなかった。 ■西日本短大付が福岡大会制す!【トーナメント表】 エース村上太一(3年)は9回2失点で完投勝利を挙げた。初回にプロ注目の柴田獅子(同)の適時打で先制され、5回にも1点を奪われたが、直後に打線が再び同点とした。村上は「こっちのペース」と動じることなく、130キロ台の直球とカットボール、スライダーを駆使して6回以降は追加点を許さなかった。 エースの力投が終盤に試合を動かした。捕手の山下航輝(2年)が8回に決勝の3ランを放った。中学時代に所属した「筑後リバーズ」からバッテリーを組む後輩の一発に「うれしくて泣いてしまった。3年生のためにと努力をいっぱいしていたので最後に出たと思う。ありがとうしか言えない」と感極まった。後輩の援護で奮起した村上は9回も無失点に抑えた。 「打倒大濠」を掲げ、冬場は100メートル走100本を毎日こなすなど苦しい練習に耐えてきた。春の福岡大会5回戦で4―6で敗れてからは早朝練習も欠かさなかった。 夏の決勝前には、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大谷翔平(現ドジャース)が言った「憧れるのをやめましょう」という言葉を引用し、みんなで「憧れるのをやめよう」と口々に言った。連敗中の相手を必要以上に恐れることはないと気持ちを一つにした。 129球を投げきりリベンジを果たしたエースは「高校生活の中で今日が最高」と喜びをかみしめた。次の舞台は3年ぶりの甲子園。村上はチームに2010年以来となる甲子園勝利をもたらし、さらなる「最高の日」を迎えるために力を尽くす。(前田泰子)
西日本新聞社