高橋優貴、原樹理、平沢大河、渡部健人… 「構想外危機」で意地見せたい「ドラ1」たち
西武を長年支えてきた金子侑司、岡田雅利が現役引退を発表した。2度の盗塁王に輝くなどスピードスターとして活躍した金子だが、近年は出場機会を減らしていた。岡田は配球の妙に長けた玄人好みの捕手だった。昨年3月に「大腿骨・脛骨骨切り術」の大手術を受けるなど故障との戦いが長かったが、金子と共に2018、19年リーグ連覇に貢献した功績は色褪せない。 【写真】来季は保証されていない? 西武の115キロ巨漢ドラ1 プロ野球の世界で、引退を決断できる選手は一握りだ。多くの選手はチームの戦力構想から外れ、道半ばでユニフォームを脱ぐ形となる。ドラフト1位で入団して将来を嘱望された選手たちも例外ではない。 ■精神的な強さがほしい高橋優貴 巨人のプロ6年目左腕・高橋優貴は今季1軍登板なし。イースタンリーグでも2試合登板にとどまり、3軍降格を味わった。光り輝いた時期があっただけに惜しい。18年のドラフト1位で入団し、3年目の21年に11勝9敗とチームで唯一の2ケタ勝利を飾る。特に阪神戦は4勝0敗と抜群の相性の良さを誇った。61与四球はリーグワーストだったが、適度に荒れていることが打者にとってみれば厄介だった。だが、翌22年はわずか1勝のみ。昨年はファーム暮らしが長くなり、未勝利に終わった。 スポーツ紙記者は「制球を気にするあまり、投球のバランスを崩してスライダー、スクリューの精度が落ちてしまった。あとはメンタル面ですね。走者を背負うとベンチのほうばかりチラチラ見て、どう思われているのか気にしていた。持っている能力は高いので殻を破ってほしいのですが……」と指摘する。先発、救援の層が厚くなっているため、来季の戦力構想に入るかは不透明だ。
■ライバルと明暗分けた原樹理 最下位に低迷するヤクルトでは、原樹理が背水の陣を迎えている。東洋大のエースとして、駒大の今永昇太(現カブス)と共に東都リーグを代表する投手としてスカウトの評価を高めたが、15年のドラフト1位でプロ入り後は明暗が分かれる形に。右打者の内角をえぐるシュートなど多彩な変化球が武器だが、好不調の波が激しく先発ローテーションで1年通じて稼働できないシーズンが続いた。22年に自己最多の8勝を挙げてリーグ連覇に貢献したが、昨年は上半身のコンディション不良など状態が上がらず、1軍登板なし。今年はイースタンリーグで26試合登板し、4勝4敗、防御率3.44の成績を残し、8月27日に救援要員で1軍昇格。694日ぶりの1軍マウンドとなった同日の巨人戦では岡本和真に被弾するなど2回1失点だったが、今月5日の巨人戦は1回を三者凡退に抑えた。 「来季に向けて戦力として計算できるかという意味合いも込め、1軍に昇格させたと思います。31歳という年齢を考えると、登板するすべての試合が来季の契約を勝ち取る上で、重要な意味を持つと思います」(スポーツ紙デスク) ■スター候補も1軍が遠い平沢大河 野手に目を移すと、ロッテの平沢大河が今季1軍出場なし。仙台育英では打撃で高いミートセンスと俊足強肩を生かした遊撃の守備で「高校№1野手」と評され、15年のドラフト1位指名でロッテと楽天が競合した。甘いマスクで女性人気も高く、ロッテを背負うスター選手として期待されたが、打撃で確実性が上がらず定位置をつかめない。出場機会を増やすために外野を守り、ユーティリティープレーヤーとして活路を見出したが、若手の台頭もあり1軍が遠い。ファームでは主に外野で出場しているが、1軍の外野陣は岡大海、高部瑛斗、藤原恭大が結果を残している。右の大砲として期待が大きい山口航輝、ベテランの角中勝也、荻野貴司、俊足に定評がある和田康士朗も控えている。平沢は打力を上げないと序列をひっくり返すのは難しい。