一度決まったクラスを再編成 混乱の新学期 職員間の情報共有に問題か 滋賀・守山の市立中学校
児童生徒にとって新年度最初のビッグイベントといえば、クラス発表。「親友と同じクラスになれた」「友達と離れてしまった」など、喜んだり悲しんだりといった経験は誰もがしたことがあるが、そんな中、滋賀県守山市の市立中学校で、一度決まったクラスが再編成されるという「誰も経験したことのない」事態が起きた。理由は生徒指導上での配慮不足。前代未聞のクラス再編成の背景には何があったのか。 ■配慮足らず異例の再編成 市教育委員会によると、クラスの再編成があったのは、滋賀県内で最も生徒数が多い市立守山南中(同市古高町)の3年生(11クラス381人)。同校では、今月5日、入学式の準備のため学級開きがあり、その際に3年生のクラス編成も発表された。 ただ、同日、保護者からの指摘で「必要なはずの生徒指導上の配慮が足りていないクラス編成となっていた」(市教委)ことが判明。学校側は「人間関係に問題があった生徒同士を同じクラスにした」と明らかにし、8日に予定されていた始業式を延期、3年生を臨時休校とし、クラスの再編成に踏み切った。 異例の事態に、県内の小学校で校長の経験のある男性(60)は「聞いたことがないし、よくそんな決断をしたなと思った」と驚きを隠さない。 一般的なクラスの編成について、人数を除き国や都道府県に指針はなく、児童生徒の学力やリーダーシップ、運動能力などを踏まえて学校単位で総合的に判断する。考慮する事項が多岐にわたるため、時間を要し、問題が見つかれば差し替えることも多いという。関係者によると、生徒や保護者からの希望は多いが、「担任の配置も含めて、子供たちが100%望む形になることはありえない」という。 新年度の教員異動を経て、3月中旬以降、前年の担任が作成したたたき台を基に、新たに学年を受け持つ教諭らで検討を重ね決定されるのが通例だ。 もちろん生徒の人間関係もクラスの編成上重要な要素で、男性は今回のケースについて、「再編成をしていなければ、生徒の不登校などの問題につながる可能性もあったのではないか」と指摘する。 ■別の考慮すべき事情