非正規公務員の雇用は不安定、「専門性の軽視」「身分差別」の問題も… 労働団体が「会計年度任用職員」制度の問題を訴え
「会計年度さん」「2級」などと呼ばれる職員も
「はむねっと」の共同副代表である瀬山紀子氏は、今年6月から7月にかけて実施したアンケートの結果について報告した。 アンケートの対象者は、国の機関や自治体で現職で働いている非正規職員、および昨年度まで在職していた元・非正規職員。有効回答は676件。回答者の9割が女性であった。 アンケートの結果、退職者のうち4割が仕事を継続する意思があったにもかかわらず不本意な雇い止めにあったこと、6割の回答者が有期雇用に不安を感じている状況などが判明した。 また、会計年度任用職員には児童相談所相談員などの対人支援職や学校司書・図書館司書など、経験が不可欠な専門職も多く含まれている。しかし、実態としても継続して働いているにもかかわらず、年度単位の雇用という不安定な立場に置かれている。 「他人を支援することを仕事にしている職員が、『明日は我が身』という不安定な状況に立たされていることには、矛盾がある」(瀬山氏) 4人に1人は、雇用契約書などに記載された職名が自身の仕事内容を反映したものになっていないと回答(「保育士」が「保育補助員」、図書館司書が「図書館補助員」や「図書整理」と記載されるなど)。 さらに、回答者のうち3割は、「会計年度さん」や「会計さん」、「委託さん」や「2級」などと呼ばれた経験があるという。 「通常なら名前や職種が呼称になる場面で雇用身分で呼ばれることは、専門職の軽視であり、身分差別・人権侵害ともいえる」(瀬山氏) 12日に告示される自民党総裁選では「解雇規制の緩和」が争点となっている。瀬山氏は、会計年度任用職員制度は本人に不備がない場合にも理由なく雇い止めになる可能性が1年ごとに訪れる、きわめて不安定な立場を労働者に強いる制度であることを指摘。この制度の形態が民間に広がる可能性を危惧した。 「数年ごとの公募や恣意的な雇い止めを可能とする有期雇用制度を根本から変え、無期雇用を前提とする法整備を早急に進めるよう求めていく」(瀬山氏) 10月6日(日)には日本図書館協会研修室(東京都中央区)にて、実行委員会主催の「第16回 なくそう! 官製ワーキングプア集会 反貧困集会2024」が開催される予定。
弁護士JP編集部