国指定難病IBDとIBSに理解を 福島県いわき市の高校生ら啓発
国の指定難病「炎症性腸疾患(IBD)」と「過敏性腸症候群(IBS)」への理解を広めようと、福島県いわき市の高校生と高専生の3人が交流サイト(SNS)を通した発信などに取り組んでいる。3人は「病気でも安心して過ごせる地域にしたい」と意気込んでいる。 活動するのは中学時代に同級生だった、いわき光洋高3年の穴沢優奈さん(18)と徳山美紅さん(18)、福島高専3年の長瀬匠真さん(18)の3人。2年生の時、穴沢さんはIBDの潰瘍性大腸炎、徳山さんはIBSの診断を受けた。穴沢さんは「おなかに違和感があり、腹痛や血便、ひどい時は発熱もある」と症状の苦しさを明かす。患者に共通する悩みは、突然で急激な腹痛や便意だ。治療で症状が緩和することもあるが、トイレの不安は尽きないという。 アメリカの医薬品会社の日本法人アッヴィが2022(令和4)年、患者が安心して外出できるように企業や店舗がトイレを提供する「I know IBDプロジェクト」を始めた。「ご遠慮なくどうぞ」と書かれたステッカーを店先に張り、患者の不安解消につなげている。
いわき市でも取り組みを広めたいと願い、昨年4月に「IBD広め隊」を発足させた。プロジェクトの公式サポーターとして地元企業を訪ね、協力を呼びかけてきた。自らの経験や活動をSNSで紹介し、理解普及にも努めている。 現在、IBS患者の認知を高めようと市内でスーパーを展開するマルトとステッカーを作成中だ。「I know IBDプロジェクト」のステッカーと組み合わせて使えるデザインを考えている。 高校卒業後は地元を離れるメンバーもいるが、3人は「活動は続けていく。いつか起業し、活動の幅を広げられたらうれしい」と夢を膨らませた。 活動はインスタグラムのアカウント(@ibd_hirometei)で確認できる。 ※IBD、IBSとは IBDは炎症性腸疾患の略語で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病に分けられる。下痢や腹痛が主な症状で、トイレの回数の急増や食事の制限など生活に大きく影響する指定難病。2016(平成28)年度の調査によると国内患者は計29万人と推計される。IBSは過敏性腸症候群の略語。ストレスなどで腸の働きに異常が生じ、腹痛やガス、下痢などの症状がある。