日銀・黒田総裁会見12月19日(全文1)緩和を意識した政策運営が適当
政府の経済対策による効果をどう考えるか
時事通信:時事通信社の【カワムラ 00:08:16】です。大きく2つ、よろしくお願いします。1つが先ほど海外経済のリスクについて、やや明るい兆しという言い方をされましたが、その場合、世界経済の持ち直しというか、回復の時期の前倒しが期待できるということなのかということが1つと、一方で日本経済について、これも総裁、先ほどおっしゃられていましたが、マインドがはっきりと慎重化していると。こういったものが、世界経済のそうした動きとはまた別に、日本経済をさらに下押すようなリスクになりうるのか。まずこれが1つお願いします。 黒田:どうぞ。 時事通信:よろしいですか。それから政府が先般、市場規模26兆円の経済対策を決めたわけですけれども、ポリシーミックスの観点からこれは十分な措置だとお考えなのかということと、この効果、成長率をどれぐらい押し上げる効果が期待できるのか、お願いします。 黒田:先ほど申し上げたように、海外経済のリスクにつきましては、大きな要素であった米中の貿易摩擦というものについて、一定の合意に向けた前進が見られたということもありますし、またブレグジットの不透明性というのもかなり減殺されたとか、そういうこともあります。 また、実際の経済データでも、ご承知のように米国経済は極めて順調でありますし、雇用も大きく伸びてるということであり、中国経済も、減速のトレンドは続いていますけども、何か非常に大きく経済が停滞方向に向かうというリスクは見当たらず、むしろさまざまな対策が打たれて、IMFの見通しなどでも今年、来年と6%程度の成長が続くという見通しになっています。
世界経済の見通しはやや明るくなっている
また欧州は減速が続いてはいますけれども、幾つかの指標で前向きのものも出てきているということもありますので、若干数カ月前よりも世界経済の見通しはやや明るくなっていることは事実なんですが、まだ具体的に世界経済の回復の時期が非常に前倒しになるとかそういう感じまではまだいってないと思いますので、そういった前向きの兆候もあるけれども、一方で引き続きさまざまなリスクがあるということを十分認識しながら注意深く見ていきたいと思っています。 それから日本経済については、最初に申し上げたとおり、輸出、生産、それから企業マインド、特に製造業のマインドに慎重な面が見られる。あるいは輸出生産に弱めな動きが見られるということは事実なんですけれども、先ほども申し上げたとおり、需要側から見た設備投資の計画とか意欲も十分高い水準にありますし、消費も消費税の増税の影響とか、それから19号台風、その他の自然災害の影響などが絡み合ってはいますけれども、全体として緩やかに増加するというトレンドには変化はないと思いますので、先ほど来申し上げたような足元の経済、そして先行きの見通しというのは公表文でも述べてもおりますし、また私が先ほど申し上げたような形で見ております。 なお政府の経済対策については、その効果というのは、政府自体が自然災害からの復旧復興の加速、それから経済の下振れリスクを確実に乗り越えると、そして生産性や成長力の強化を通じて、民間需要中心の持続的な経済成長を実現するという観点から各種の施策を取りまとめたというふうに承知しておりまして、今後国会の審議をへて、経済対策の予算が成立してこれらの政策が実施されれば当然政府支出が国内需要を下支えする、あるいはその伸びを高めるという効果もありますでしょうし、さらには成長の基盤となるインフラの構築、あるいはそれらに伴う生産性向上などを通じて日本経済の持続的な成長にもつながるということが期待されると。物価に対しても時給アップの押し上げなどを通じてプラスの影響を与えるというふうに考えております。 ただ現時点では経済対策の内訳、あるいは実施時期などが私どもには十分判明しておりませんので、先行きの経済物価に対する具体的な影響については、今後判明するより詳細な【**月 00:13:58】の展望レポートに織り込んでいくということになるのではないかというふうに思っています。