弓削智久(ゆげ・ともひさ)【1】カリスマ読者モデルから「仮面ライダー」作品に最も多く出演している俳優に
■「仮面ライダー」シリーズに最も多く出演した俳優は殆ど変身しなかった
大学に通い、舞台の仕事をしながらテレビや映画のオーディションを受けていたという弓削さん。2002年、「仮面ライダー龍騎」のオーディションを受けて出演することに。凄腕の弁護士・北岡秀一(仮面ライダーゾルダ)の秘書兼ボディガード・由良吾郎役を演じた。 「大学在学中だったんですけど、オーディションに受かって。『仮面ライダー龍騎』で1年間同じ役をやらせてもらいました」 ――「仮面ライダー龍騎」で弓削さんのことを知った人が多いですね。吾郎ちゃんは、料理はできるし性格もいいし、腕力も強い、完璧な人でしたよね 「そうですよね(笑)。最初はどういう役なんだろうって思っていたんですけど、脚本も自分の選択した芝居をピックアップして反映させてくれたので、そういう意味ではすごく楽しかったですし、今でも『吾郎ちゃん』って呼んでくれる人が結構多いんですよ。もう20年経ったんですけど、ありがたいですね」 ――最初は仮面ライダー龍騎役のオーディションで行かれたのすか 「そうです。主演オーディションだったので。でも、自分が主演には絶対選ばれないだろうなって思っていたんですよ。二枚目の綺麗な顔の子が主演になるだろうなって思っていたので。 だからオーディションの時に、『これは主演以外の役にも見ているんですか?』って聞いたら、『そんなこと聞いたやつ初めてだよ』って、プロデューサーがめちゃくちゃ笑っていました。後にプロデューサーの白倉(伸一郎)さんと武部(直美)さんに聞くと、『突拍子もないことを言って面白かった』って(笑)。 最終オーディションで一緒だった4人はみんなメインキャストに選ばれました。4人並んだ時どうなのか、並びを見たかったみたいで。でも、受かって、仮面ライダーになれると思ったら変身する役じゃなくて」 ――仮面ライダーゾルダに変身するじゃないですか 「最後の最後にですけどね。でも、僕は当時尖っていたのか、『別に変身とかしたくないし、七味とかスパイスみたいな役で出たいんです』みたいな生意気なことを言っていたんですよ。そうしたら、『本当に変身しないじゃん』みたいな(笑)。変身シーンがほとんどない。 それで悔しかったですね。『仮面ライダーに出ているけど変身してないよね。あれは何なの?』とか言われたりして。『弁護士秘書です』って言っていましたけど。 『踊る!さんま御殿』(日本テレビ系)に出させてもらった時も、さんまさんに『お前は何だ?仮面ライダーじゃないのか?』って聞かれたから『弁護士秘書です』って言ったら、『仮面ライダーに秘書がいる時代なんや』みたいな感じでいじってくれて。結構ウケたので良かったですけど」 ――仮面ライダーゾルダに変身した時はいかがでした? 「うれしかったです。何とか僕も変身することができて良かったなあって(笑)」 ――長身ですし画になりますよね。撮影スケジュールはかなりハードだと聞いていますがいかがでした? 「結構大変でした。主演の須賀(貴匡)くんとか松田(悟志)くんは本当に大変そうでしたね。毎朝5時ぐらいに行かなきゃいけなかったりするので、撮影所の近くに引っ越す人もいるくらいで。僕は緩めな撮影スケジュールでした。撮影した1年も、大学に通えていたぐらいなので」 ――放映が始まるとかなり反応があったと思いますが 「そうですね。応援してくれる人が増えた感覚は、本当に徐々に15話ぐらいの放送が終わった時に感じました。仕事をする上でも意識は変わりました。やっぱり身だしなみに多少気をつけるようになりましたね。 それまでは舞台とかに出ていると毎日が稽古なので、動きやすい格好でとか、整髪料もつけずに朝起きたまま稽古場に行くみたいな感じだったんですけど、ちょっと変わりました。メンバーもどんどん変わっていって、みんな何かおしゃれになっていきました(笑)。回を追うごとに変わっていくみたいな」 ――「仮面ライダーカブト」、「仮面ライダー鎧武/ガイム」、「仮面ライダーアマゾンズ」 にも出演されていて、“最も多く仮面ライダーに出演した俳優”と言われていますね 「そうですね。4作品に出ていますけど、最後(Amazon Prime Videoの『仮面ライダーアマゾンズ』)は殺人犯役ですから。 あれを撮ってくださったのが『仮面ライダー龍騎』の石田(秀範)監督で、『めちゃくちゃやっていいよ。地上波じゃできないことをやろうぜ』って言ってくれたので、思いっきりできました。監督の演出を逃さず聞いて、自分が持ってきたものとすり合わせて反映するという形でした」 ――“仮面ライダーに最も出演した俳優”と言われていることについてはいかがですか? 「そう言われていますけど、わからないですね。いっぱい変身した人(スーツアクター)や声の出演の人もいるし、僕はただの“おやっさんポジション”だったりしますからね(笑)。僕は4作品出ていますけど、最初の『仮面ライダー龍騎』の最後の1回と、もう1回しか変身してないです。『仮面ライダーカブト』の途中で『戦い方を教えてやる!』と言って無理やり変身するシーンが2回。変身したのはそれだけです」 ――もっと変身したかったですか?まだこれからもあるかもしれないですけど 「変身したいですよ。だって未だにみんな『変身ポーズをとってください』って言われて、トークショーとかでもやっていますけど、僕は何にもないですからね。ファイティングポーズをしておしまいです(笑)」 「仮面ライダー龍騎」で注目を集めた弓削さんは、2007年にはW主演を務めた映画「サクゴエ」で脚本家デビューも果たした。次回は脚本執筆のきっかけ、撮影エピソードなども紹介。(津島令子) ※弓削智久プロフィル 1980年5月25日生まれ。東京都出身。 1999年、「小市民ケーン」で本格的に俳優としてデビュー。2002年に「仮面ライダー龍騎」に由良吾郎役で出演。2006年には「仮面ライダーカブト」、2013年に「仮面ライダー鎧武/ガイム」、2016年「仮面ライダーアマゾンズ」(Amazon Prime Video)に出演。映画「スラッカーズ 傷だらけの友情」(渡邊貴文監督)、映画「彼岸島」(キム・テギュン監督)、「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~Season2」(Hulu)などに出演。12月14日(土)~12月27日(金)に池袋シネマ・ロサにて映画「きみといた世界」の公開が控えている。
テレビ朝日