御嶽海（右）を押し出しで下し、勢いよく土俵へ戻る大の里

◇15日　大相撲秋場所7日目（東京・両国国技館） 　関脇大の里（24）＝二所ノ関＝が元大関の御嶽海（出羽海）を押し出し、初日から8連勝で単独トップを守った。場所後に第二の故郷へ足を運ぶなどモチベーションには事欠かず、後半戦も足元を見据えて大関とりへの機運を高める。元大関の関脇霧島（28）＝音羽山＝は宇良（木瀬）を押し倒し、1敗を堅持。大関琴桜（26）＝佐渡ケ嶽＝は元大関の正代（時津風）を押し出し、連敗を阻止して2敗を守った。 　立ち合いで必勝の右差しが封じられた。それでも大の里は慌てなかった。初顔だった名古屋場所は同じ状況で足を止めて引き、御嶽海の一気の攻めに屈して黒星発進。そこから2カ月。ひたすら前に攻めたのが進化の証しだった。珍しく右上手を探る動きも見せながら、左はおっつけて圧力をかけ続けて押し出した。 　勝ちっ放しでの勝ち越しは自身初。新入幕から5場所連続勝ち越しも決めた。先場所を「しっかり考えていきました」と話した後は、今場所の定番フレーズ。「一日一番、集中するだけなので」。単独トップで折り返しても冷静だった。 　胸を張って凱旋（がいせん）したい。秋場所後、第二の故郷の新潟県糸魚川市へ足を運ぶ。大の里ら海洋高OBの関取4人をあしらった「えちごトキめき鉄道」のラッピング車両が、28日に同市の能生中や同高に近い能生駅などで披露される。場所前、恩師で同高相撲部の田海哲也総監督から案内があった。正装の紋付きを指定された。同中から6年間、猛稽古で土台を築いた大切な場所を盛り上げて恩返しする、またとない機会。「分かりました」の短い返事にも自然と力がこもった。 　会心の一番で、大関昇進の目安とされる「三役での直近3場所で計33勝」まで、あと4勝。八角理事長（元横綱北勝海）は「勢いがある感じ。常に先に攻めている。馬力があるから」と評した後、「気付いたら上がってるくらいがいい。大関より優勝じゃない？気持ちは」と期待感を言葉にした。 　ラッピング車両お披露目前日の27日は、思い出いっぱいの寮で過ごす予定。1学年先輩の白熊、嘉陽と、1学年後輩で同じ石川県津幡町出身の欧勝海とOBの4関取が顔をそろえるのは、卒業後は初。お祝いごとはいくつあってもいい。「この1週間が大事。頑張ります」。優勝＆大関昇進を実現させるため、攻めに妥協の2文字はない。