《ブラジル》南米の政治集会に初音ミク⁈=X停止命令に抗議で日本のアイドル登場
7日のブラジル独立記念日にサンパウロ市で行われ、約4万5千人が集まったボルソナロ前大統領派によるデモ集会には、なぜか日本のヴァーチャルアイドル「初音ミク」の姿があった!? アレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事によるSNSプラットフォーム「X」停止措置への抗議の一環として、彼女を描いたプラカードが使用された。このことから彼女のブラジルでの高い人気が伺える。 初音ミクとは、音声合成技術「ボーカロイド」を基盤としたバーチャルシンガーであり、青緑色の髪をツインテールに束ね、近未来的な容姿が特徴だ。彼女はユーザーが入力したメロディや歌詞に基づいて音楽を生成するソフトウェアで、音楽制作やメディアアートの領域で広く認知され、世界中にファンが広まっている。 そんな中、8月25日付アニメ情報サイト「イントキシカソン・アニメンタール」などによると、ブラジルでも「ブラジリアン・ミク(miku brasileira)」という独自アレンジを加えたトレンドが急速に広まっている。
この火付け役となったのは、TikTokのユーザー@akioskdebapが8月14日に投稿した動画で、初音ミクがブラジル国旗風にデザインされた黄色いトップスとショートデニムを着用し、ブラジル人風にアレンジされた姿で描かれている。身につけたアクセサリーや日焼けした肌は、典型的なブラジル人のビーチスタイルを強調したものだ。 投稿からわずか数日でこの動画は急速に拡散され、240万回以上の視聴と37万6千の「いいね」を獲得。この現象は、初音ミクの日本国内外における影響力と人気の広がりを再確認させるものとなった。 その後、XではアーティストDoodly(@thecat_mitsu)が「ブラジリアン・ミク」を描いたイラストを公開し、これも大きな話題に。このイラストでは「ブラジリアン・ミク」がブラジルの人気炭酸飲料「ガラナ」の缶を手にしている様子が描かれており、ブラジルのアイコンとミクの融合が表現されている。このイラストも短期間で急速に拡散し、わずか5日で1290万回以上の視聴、2万4千のリツイート、16万1千の「いいね」を記録した。 ブラジルでは初音ミクが再解釈され、サッカーのスター選手ネイマールとの共演姿が描かれたり、2014年W杯準決勝の「ミネイロンの惨劇(ブラジルがドイツに1対7で惨敗を喫した試合)」を連想させるようなシーンが作られるなど、ブラジル文化や象徴との融合が進む中で新たなトレンドが生まれている。 8月が終わってもこの勢いは衰える気配を見せず、数多くのアーティストが「ブラジリアン・ミク」の独自バージョンを投稿し続け、この人気に貢献し続けている最中に、X停止処分が下されて見られなくなった。そのため、あのようなプラカードがデモに現れたようだ。 日本のポップカルチャーとブラジル文化がSNS上で交差するこの現象は、初音ミクの国際的な影響力と、多様な文化を受け入れる寛容性を示している。