国会議員の「名誉毀損発言」に裁判所が異例の“賠償命令”…議員の「免責特権」から市民の名誉・プライバシーを守るには?【憲法学者に聞く】
国会議員の名誉毀損的発言等に対する「ペナルティ」のあり方
――今日、インターネットの普及と発達により、国会議員が院内で名誉・プライバシー侵害にあたる発言をした場合に一般に知られやすく、かつ拡散されやすくなっています。国民の権利救済の見地から、ペナルティを強化すべきという議論につながっていく可能性が考えられますが、いかがでしょうか。 上脇教授: 「国会議員が免責特権の趣旨を理解せずに発言するのは問題ですが、あくまでも議員個人の資質の問題ととらえるべきです。 一般論として国会議員の発言に対するペナルティを強化すべきとか、免責特権を廃止すべきとかの議論につなげるべきではありません。 そのような議論を突き詰めると、議院の多数派が少数派を弾圧できてしまうことにつながり、憲法が国会議員の免責特権を定めているそもそもの趣旨に反することになります。 あくまでも国会議員の院内での自由な発言を保障しつつ、それと同時に、被害を受けた人の権利救済は国に賠償責任を負わせることによって図られるべきです」
弁護士JP編集部