ファーストクラスの走るラウンジ 復活ホンダ・オデッセイ CARストーリー
スポーツカーのホンダからファミリーカーのホンダへ…。その先駆けといえるのが1994年にデビューしたオデッセイだろう。7人が乗れるスペースと、スポーティーな走りで大ヒット、2009年には累計100万台に達する。しかし、大型化するライバルに徐々にシェアを奪われていく。国内工場の閉鎖という事情もあり、21年末に生産を終える。だが、根強いファンからの要望などで昨冬に再登板、復活を果たしたオデッセイに試乗した。 【写真】ファーストクラスのような贅沢な仕上がりのキャプテンシート 初代オデッセイは、後席がスライドドアではなく手前に開く普通のドア、さらに車高の低さが相まって、やや大きめのワゴンという感じだった。 そのため、3列目への乗降性にやや難があったが、セダンのような滑らかな走りで人気に火が付く。 2008年の4代目までは初代のデザインが踏襲されるも、13年発売の5代目で初めてスライドドアを採用。全高も15センチほど高い約170センチとなり、ミニバンらしいボディーとなる。 しかし、2メートル近い車高のライバルには後れを取り、販売が伸び悩む。国内工場の再編を受けてオデッセイは生産終了、28年の歴史に幕を下ろす。 しかし、高級ミニバンのラインアップの消滅で、歴代ユーザーの乗り換え需要を取り逃がすなど、復活に向けた機運が高まる。白羽の矢が立ったのが中国で継続生産されていたオデッセイ。日本とほぼ同じ仕様で、導入へのハードルが低かった。 再デビューに向けて、最新の運転支援システム「ホンダセンシング」や、2列目シートに、オットマン付きキャプテンシートを採用するなど、アップグレードを施した。難点は価格が40万~50万円アップし、500万円近くになったことだろう。 今回お借りしたのは、「e:HEVアブソリュートEXブラックエディション」という最上級モデル。ドアを開けただけで、本革シートのぜいたくな雰囲気が伝わってくる。 2列目は2人掛けのキャプテンシートで、重役気分の移動が楽しめる。大きな肘掛けに、足を伸ばせるオットマンで、飛行機でいうファーストクラスといったところ。これでマッサージ機能があれば文句なし。 184馬力のモーターは、出足がよく想像以上にパワフルだ。今回は東京―大阪を往復する1000キロ超のドライブだったが、新東名の制限速度120キロの区間でも、パワー不足を感じることはなかった。