日本人によくある「英単語・文法」偏重の勉強法の「意外な落とし穴」
なぜ英単語と文法を一生懸命勉強しても英語を使いこなせないのか? どのような英語学習が効果的なのか? いま注目を集めているのが、「定型表現」だ。文法と単語を学ぶだけでは身につかない「決まり文句」を知ることで、英語力を飛躍的に高めることができるだろう。 【写真】日本人だけが「英語が苦手」な意外な理由って…? 定型表現はなぜ重要で、どのような種類があり、どう学習するのがいいのか? 『英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法』では、そのすべてをわかりやすく解説している。
「定型表現」とは何か──文法と単語のはざま
「英語学習」と聞くと、何をイメージしますか? 多くの方が英単語と文法の学習を思い浮かべるのではないでしょうか。 スマートフォン(スマホ)が普及した現在でも、電車の中で英単語帳や文法書を広げている学習者を見ることは珍しくありません。大学受験のために多くの英単語を覚えたり、「仮定法過去完了」や「分詞構文」などの文法事項と格闘した苦い記憶をお持ちの方も多いでしょう。英会話スクールでは会話が重視されるイメージがありますが、実際には単語や文法を口頭で練習しているだけというケースも珍しくないようです。 英語を身につける上で、文法と単語の知識が重要なのは言うまでもありません。文法とは複数のスロット(穴)が開いた文の骨組みであり、そのスロットに様々な単語を入れて肉付けすることで、無限に文を生成できます。 例えば、第2文型(SVC)は、主語にI / we / he、補語にhappy / sad / hungryなどの単語を入れることで、 主語 S 動詞 V 補語 C I am happy. We are sad. He is hungry. など、無数の文を生み出せます。 「文法と単語を組み合わせることで、様々な文を生み出せる」という主張は間違ってはいませんが、実際の話し言葉や書き言葉では、文法ルールに則って一から文を組み立てるのではなく、2語以上のまとまりで特定の意味を持つ「定型表現 (formulaic sequences)」をつなぎ合わせることが多いと指摘されています(*1)。