フランス社会を悩ませる未成年の「超暴力」事件
*この記事は、現地発の情報プラットフォーム「WorldVoice(2024年4月30日付)」の投稿を一部編集して転載しています。 ●高齢女性を地面に叩きつけ、孫娘をあわや拉致...凄惨な暴力映像にフランス激震 ここ数週間にわたり、フランスでは、毎週のように未成年の超暴力事件が起こり、社会問題として取り上げられています。「超暴力」(ウルトラ バイオレンス)という呼び方をするのも、それが単なる暴力に留まらず、殺人事件にまで発展してしまうためであると思われます。【RIKAママ(フランス在住ブロガー)】 このところ、立て続けに起こっているのは、未成年でも14~15歳という年齢層の「超暴力」。路上でターゲットを待ち伏せして殴り殺してしまったり、ナイフで刺し殺してしまったりと単に喧嘩がエスカ レートしただけとも言い難いところで、ましてや、この年代の子どもがナイフなどの凶器を持っているというだけでも恐ろしい話であります。
ここ数週間の未成年の超暴力事件の概要
4月の半ばにグランド・シント(オー・ド・フランス地域圏)で起こった事件は、14歳と15歳の少年が路上で男性を待ち伏せして襲い、殴り殺してしまったという陰惨な事件でした。この少年たちは、「痛めつけるだけで、殺すつもりはなかった…」と語っているようですが、結果的には殴り殺してしまったわけで、つまり殺すまで殴り続けたわけで、その暴力性、残忍性がかえって浮き彫りになる感じもします。 また、そのニュースがおさまりきらないうちに、つい最近、シャトールー(フランス中央部・サントル・ヴァル・ド・ロワール地域圏)で起こった事件は、被害者・加害者ともに15歳の少年で、加害者が凶器を持って現場に現れました。ナイフで被害者を数回刺しており、一層過激なものです。被害者の少年は、意識不明の状態で病院に運ばれたものの、その数時間後には死亡してしまいました。 この加害者の少年は、すでにナイフによる恐喝、加重窃盗容疑で起訴中であったとのことです。過去に有罪判決を受けたことはなかったため、名目上、司法の監督下におかれたものの自由の身であったとのこと。これは現在の未成年に対する刑事司法上では、唯一の措置であったと言われています。 4月半ばの事件は、14~15歳の未成年による超暴力的な殺人事件として大々的に取り扱われ、フランス社会に大きな衝撃を与えました。これは政府までもが、未成年、若年層の「超暴力化問題」に本格的に取り組む声明を発表して、協議がはじめられた矢先のことでした。それが、これでもかというほどに同年代による超暴力殺人事件が起こってしまったのですから、もう火に油が注がれたような感じでもあります。 最初の事件後、ベジエ市(フランス南西部・オクシタニー地域圏)やニース市などでは、夏休み期間中、13歳未満の未成年者は大人の付き添いなしには夜間(23時~6時)に外出をしてはならないとする法令を制定しています。とはいえ、13歳未満の子どもが夏休みであろうといつであろうと23時以降に子どもだけで外出って……ふつうなら考えられないのでは?と思ったりもします。実際にこのような法令が出されるということは、市が禁止しなければいけないくらい珍しくない話なのかもしれません。