昨年、センバツ落選を味わった聖隷クリストファーが9回に逆転!名門・静岡を下して決勝進出!【24年夏・静岡大会】
<第106回全国高校野球選手権静岡大会:聖隷クリストファー3―2静岡>◇27日◇準決勝◇静岡草薙球場 静岡県内で最も人気校である静岡が、ベスト4に勝ち上がってきた。土曜日の草薙球場は早い時間から多くの人が足を運んでいた。 対するのはノーシードの聖隷クリストファー。近年は躍進している私学でもある。秋季東海大会で準優勝しながら、昨年のセンバツに落選し、話題となった学校である。今大会は、ここまでしっかりと勝ち上がってきた。 今春も県大会準優勝を果たし、盤石の態勢で準決勝に臨んだ静岡だったが、まさかの展開が待っていた。 スコアこそ1点差ではあるが、8回まで試合内容としては完全に静岡が押しており、聖隷クリストファーは静岡の注目の先発・谷脇 健心投手(3年)に、3回にスクイズで挙げた1点以外は、ほぼ封じ込まれているという感じだった。3回以外は二塁へ走者を進めることすらできていなかった。聖隷クリストファー・上村 敏正監督も「反撃しようにも、なかなかチャンスが作れないなという感じで焦れていた」というくらいに、谷脇投手に抑えられていた。 谷脇投手は、しなやかな投球で8回まで3安打に抑えていた。静岡は初回、犠飛で先制し、同点とされた3回に相手に失策が相次いで再びリードすると、その僅少リードを谷脇投手が安定した投球で守り切っていたのだった。 ところが9回、聖隷クリストファーは先頭のジャコブソンレイ選手(3年)が安打で出る。バントで二塁へ進むと、5番に入っている稲岡輝太(3年)が左越二塁打で返して同点。なおもチャンスが続く中で、伊藤 玲泉選手(3年)が中越二塁打して、これが逆転打となった。 土壇場で、こうした劇的なプレーが起きるのが高校野球である。稲岡選手は3回に失点につながる失策をしており、それを取り返したいという思いも強かったのだろう。その後に決勝二塁打を放った伊藤選手は、「あの場面では、自分を信じて思い切ってスイングしました。袴田が最少失点に抑えて、よく投げていたので、何とかしたいと思っていた。それが果たせてよかった」と、笑顔で語っていた。 上村監督は、「1点負けていた状況で9回の攻撃に入る時も、選手たちには特別何も声をかけてはいません。ただ、失敗を恐れずにやって貰えればとは思っていたけれども、こういうことになるとは…」と、言いつつも、土壇場での逆転勝利には、ベテラン監督も格別の思いのようだった。