知識がないから身に付く。読書術「REAP」メソッドの仕組みとは?
多くの読書術では、本を読む前に、疑問に思うことを挙げたり、仮説を立てたりするよう求めています。しかし、学ぼうとするテーマにあまりなじみがない場合は、そう簡単にはいきません。 そんなときは、「REAP」というメソッドが役に立ちます。まずテキストを読み、あとから内容を掘り下げるテクニックです。詳しくご説明しましょう。
REAPメソッドとは
REAPは、「read(読む)」「encode(自分の言葉に置き換える)」「annotate(要点を抜き出す)」「ponder(しっかり検討する)」の頭文字をつなげたものです。 REAPは、「SQ3R」や「KWL」などの読書術と同じように、新しい本を読むときに、戦略を立てて取り組むためのテクニックです。 REAPが、SQ3RやKWと異なる点は、読み始める際に、テーマについて知識をもっている必要がないことです。SQ3RやKWの場合は、事前になんらかの知識をもっていることが前提で、章のタイトルをざっと見て、どんなことが書いてあるか、その章からどんな情報を得たいかを考えていきます。 しかしREAPの場合は、自分がそのテーマについてほとんど知識がないことが前提です。まずは本をざっと読み、そのあとで、テーマについてよく検討して、重要な部分はどれかを理解してから記憶する方法です。
REAPメソッドの仕組み
REAPメソッドでは、まず、本の中の文章や章、節などを自分で読みます。この段階では、あまり考えすぎてはいけません。はじめに読むことの目的は、じっくり読むことにこだわらず、大まかな情報を得ることです。 それから、その情報を自分の言葉に置き換えます。ノートに簡単な文章を書いてまとめてもいいですし、声に出して誰かに説明してもいいでしょう。 次に、要点を抜き出します。キーワードやデータを抜粋したり、文章を引用したり、序文や結論の要点を書き出したりしてみましょう。 そのあとは、しっかり検討します。本自体や、あなたがまとめた要点・メモなどを見直し、読むことで気がついたさらなる研究課題を明確にします。このとき初めて、読んで得た情報と、実際にどう役立てるかを結び付けることができます。 ここでようやく、注意深く読み、考察するわけです。あなたの言葉で書き直し、要点を抜き出したものを、もとの本と比較し、もっとも重要なテーマや、文章全体が言わんとすることを正確にとらえているか、考えてみましょう。 REAPは、SQ3Rのような、より細分化された読書術に進む前に、手始めとして取り組むにはおすすめの方法です。見出し一覧や小見出しなどの核心部分にいきなり目を向けるのではなく、本の全体に親しむことができます。 この方法なら、包括的な意味をとらえた上で、細かい部分に踏み込むことができるでしょう。そうしたら次は、できるだけ多くの情報を記憶できるように、もう一度本に戻り、「THIEVES」などの注意深く読み込むテクニックを取り入れて、関連情報を細かく引き出してください。
浅野美抄子(ガリレオ)