長野県松本市の会社員・下向さんがAI題材の映画を自主制作 山崎貴監督も注目、全国公開へ
AI(人工知能)は人格を持ちうるのか、正義を判断できるのか―。長野県松本市在住の会社員・下向(しもむかい)拓生さん(37)が、AIを裁く近未来を舞台に、オリジナルの3部作映画を完成させた。その名も「INTER FACE(インターフェース)知能機械犯罪公訴部」。アマチュア監督として手掛けたインディーズ(自主制作)映画ながら、通常の商業映画に引けを取らない完成度で、その製作ぶりには市内出身の山崎貴監督も注目する。松本を含む全国5都市で来年1~2月に公開される。 舞台は架空の平成39年。個人の趣味嗜好(しこう)を学習した分身AI(デジタルツイン)が普及し、AIを起訴可能とする法律が施行される中、知能機械犯罪公訴部に配属された女性検事を主人公にさまざまな事件の捜査が進む。AIと▽自我▽言葉▽正義―を3部作の各キャッチコピーに、衝撃とリアリティーを帯びた内容で、山崎監督も下向さんの映画に「そこにある未来をこんな形で表現する作品がインディペンデント映画というジャンルから現れたということに僕らは注目すべきだろう」とコメントしている。 下向さんは愛知県出身。大阪府立大学在学中から映画作りに打ち込み、自動運転AIを法廷で裁いた前作『センターライン』で福岡インディペンデント映画祭最高賞などを受賞した。普段はセイコーエプソン広丘事業所(長野県塩尻市)に勤務するが、余暇に脚本作りや撮影、編集に取り組み、裁判の傍聴や法律の勉強など細部の描写に必要な知識の習得や見聞も欠かさない。本作は新型コロナウイルス禍で着想したアイデアを元に脚本を書き下ろし、撮影した。 映画作りの魅力を「エープリルフールと同じ。人を楽しませるうそをつけること」と語り「純粋なエンターテインメントとして作っている。面白かった、怖かったなど感じたままの感情を持ち帰ってもらえればうれしい」と話している。 松本市内では松本シネマライツで1月10日に公開。以後2週間ずつ3部作を上映する。
市民タイムス