キーワードは「125」!? 原付二種で2024年のバイク業界を占う
■原付二種の電動化が大きく進む!?
カワサキは電動マシンの「Ninja e-1」と「Z e-1」を2024年1月13日に発売することを発表しました。2車は排気量区分では原付二種となるとのこと。これまで、国産の電動バイクというとスクータータイプがほとんどでしたが、スポーツライディングが楽しめるモデルが登場したことで、電動の世界が一気に広がりそうです。 両モデルに搭載されるモーターの定格出力は0.98kW(1.33PS)で最高出力は12PS。ただ、最大トルクは40Nmと400ccクラス並の数値です。車重は140kgと135kgですから加速はかなり鋭そう。約15秒間、加速と最高速を向上させるE-BOOST機能も用意されています。 価格は「Ninja e-1」が106万7000円で、「Z e-1」が101万2000円。かなり高価に感じますが、CEV補助金が12万円、東京都に住んでいる人なら東京都電動バイク普及促進事業補助金が46万円受けられます。これらを利用すれば「モンキー125」や「CT125・ハンターカブ」の44万円と同等レベルの金額で購入することができるということ。そう聞くと、かなり魅力的に見えてきます。 ホンダも原付二種の電動スクーター「SC e Concept」をジャパンモビリティショーに出展しており、市販化も近いと言われています。「ホンダ モバイルパワーパック」のバッテリーを2個搭載し、航続距離も長くなりそうなので、こちらも発売を期待したいところ。電動バイクの世界は原付二種から拡大していきそうです。
■125ccクラスでヤマハの逆襲が始まる!?
ここまで何度も「モンキー125」や「CT125・ハンターカブ」の名前を出してきたことからも感じられるように、このクラスは今、ホンダの独壇場といってもいいような状況。ほかにも「ダックス125」や「クロスカブ110」もあり、スクーターでは「PCX」が一番人気。フルサイズモデルには「CB125R」もラインナップされています。 それに対してヤマハは「NMAX」や3輪の「トリシティ125」などを用意していたものの、125cc以下のクラスは従来スクーターしかラインナップしていませんでした。ただ、2023年後半にはフルサイズのスポーツモデル「YZF-R125」「MT-125」「XSR125」を相次いで発売。2024年は一気に巻き返しを狙います。 タイとベトナムの現地法人では「PG-1」というアンダーボーンタイプのフレームを採用した新モデルも発表。「クロスカブ」と「ハンターカブ」の中間的なスタイリングで、113.7ccの横型エンジンを搭載し最高出力は9PSと発表されています。 ホイールは前後とも16インチで、ブレーキはフロントのみ油圧式ディスクブレーキを採用。国内での発売は全くの未定で、排出ガス規制の関係からそのままの導入することは難しそうですが、現地での価格は「CT125・ハンターカブ」よりかなり安いようで、導入されれば強力なライバルになりそうです。 また、ヤマハは前出の原付一種が125cc以下になる見通しであることを受けて、ホンダのOEMとなっていた原付一種クラスに、自社製の125ccモデルを出力ダウンして投入するとしています。HY戦争再び!? と書くとぶっそうな感じですが、両社の競争でバイク業界が活性化するとしたら、それはいいニュースなのかもしれません。 125ccをキーワードに、2024年に向けて気になる動向を紹介してきましたが、通勤の足として重宝されるスクーターだけでなく、スポーツモデルや電動モデルまでバリエーションが豊富になってきているこのクラス。今後もバイクの世界を盛り上げてくれることは間違いないので、2024年も期待して見守りたいと思います。
<文/増谷茂樹>