桐谷健太、芸能界入りのキッカケは“ナンパ”だった
生田斗真をどんなことがあっても支えようと思った
こうした縁を大切にしてきたことによって、本人曰く「狙っていたわけではなく」たどり着いた現状。 「仕事への思いは何も変わっていない」と言いつつも“気づいてもらえた”ことによって仕事の幅が広がっていることは事実だ。本作の役柄も、桐谷のハートフルな本質に“気づいた”からこそのオファーのように感じる。 「(荻上直子)監督が『この映画は私の人生の第2章』と仰っていたんですね。そんな強い思いのなか、斗真は本当に苦労したと思うんです。トランスジェンダーとして、メンタルな面で女性的でありつつ、フィジカルな部分もしっかり女性に見えることが重要じゃないですか」と語った桐谷。 こうした状況のなかで、ある感情が湧いてきたという。 「今までは作品の中で、自分が目立つことしか考えていなかったんです。もちろんそれが映画にとっていいと思っていたからなんですが……。でもこの作品では、斗真がきれいに見えることが重要だと思ったので、彼の心が折れないように、どんなことをしてでも支えようという気持ちになったんです」 そんな生田を思う桐谷の気持ちが、劇中のリンコとマキオの関係にもリンクし、とても優しい作品に仕上がっている。 「この年で恥ずかしげもなく、よくこんな話していますよね。『もっと前からちゃんと共演者を支えや』って話ですよね」と笑い飛ばした桐谷。しかし言葉とは裏腹に、しっかりと人と向き合うことを大切にしているからこそ、取り巻く環境が大きく変わっても、ブレずに“何も変わっていない”と言えるのだろう。 (取材・文:磯部正和)