桐谷健太、芸能界入りのキッカケは“ナンパ”だった
個性派俳優として日本映画界に欠かせない存在の桐谷健太。数々の作品で足跡を残してきた彼が、映画『彼らが本気で編むときは、』では、海のごとく広く深い愛で、生田斗真演じるトランスジェンダーのリンコを包み込むマキオを演じ、俳優としての引き出しの多さを見せつけた。 さらに、CM好感度ナンバー1や、「海の声」の大ヒット、「NHK紅白歌合戦」への出場など、ここ数年の躍進ぶりには目を見張る。“ブレイク”という表現は、すでに実績のある彼には適さない言葉かもしれないが、現状について素直な気持ちを聞いた。
「紅白」出場は「えい、歌ったれ!」
「いやぁ、緊張はしましたけれど『えい、歌ったれ!』って気持ちでしたね。楽しかったです」と昨年の紅白出場の感想を述べた桐谷。とにかくここ1~2年の活躍は目覚ましく“知名度”という物差しで考えれば、飛躍的に上がったことは間違いのない事実だろう。 自身も「子どもたちが周りに寄ってきてくれたり、おじいちゃんおばあちゃんに声を掛けてもらったり……。すごくあったかい近寄り方をしてくれるんです」と証言する。 桐谷と言えば、これまでも数々の映画やドラマに出演してきたが「とにかく目立ってやろうと思っていた」と本人が言うように、非常に個性的な役柄が多く“万人受け”という意味では、反対方向のベクトルを向いている俳優というイメージが強かった。それが、「紅白」に出場し、CM好感度でも男性部門で1位に輝くなど“万人”に受け出したのだ。
芸能界入りの恩人はナンパしてくれたゲイの人
「僕自身、仕事への取り組み方とか思いとかは、ほんまに変わってないんです。言ってみれば“気づいてもらえた”という表現が近いのかな」と現状を分析する桐谷。 「もともと好きで歌もやっていたし、浦ちゃん(=浦島太郎)みたいな、ほかのやってきた役と違うけれどトリッキーなキャラの路線にはありますよね。たまたまCMという多くの人が見るコンテンツに出させて頂いたことによって広がっていって、色々な人の縁でこうなったみたいな……」。 「人の縁」という意味では、芸能界に入ったきっかけも特徴的だ。5歳から俳優の仕事をしたいと思っていた桐谷少年は、高校のときヘアショーで出会った見ず知らずの人に「俳優になるなら東京へ行かないとダメ」と言われ、その一言で東京へ行くことを決心。 「やって来た東京で、いきなりゲイの人にナンパされて、その人にモデル事務所を紹介してもらったんです。その後のオーディション番組で次の事務所の人と出会い、そのつながりで今の事務所と結ばれて……みたいに全部つながっているんです」。 ちなみに本作でマキオの役作りの相談に乗ってくれたのが、東京で最初に出会ったゲイの仲間だという。 さらに不思議な縁で巡り合った所属事務所への信頼も厚い。 「僕は今まで色々な作品に参加させて頂いていますが、仕事選びは全部事務所に一任しているんです。自分が選ぶと好きな役ばっかりに偏ってしまうだろうし、事務所の方は、俺が頑張って手を伸ばせば届くかどうかという仕事をしっかり選んでくれるので、自分は最高のパフォーマンスで期待に応えようということだけに集中できるんです」