なぜ室屋義秀は母国千葉でのエアレースでV3を逃したのか?
室屋が言う。 「(垂直尾翼を元に戻したことは)バーティカルターンに影響はないはずだった。少しのフィーリングの違い、ちょっとした操作の差だった。オーバーGの他は、ほぼ完璧。紙一重で、垂直エレベーターで、2、3度くらいの違いだった。そのふたつ(プレッシャーと垂直尾翼の変更)のミックスで、こういう結果になった」 それでも室屋は「ここですべてが終わったわけではない」と前を向く。 レッドブル・エアレースのシリーズは全世界で8戦あり、まだ5戦残っている。室屋の目標は「千葉のV3」だけではなく「年間チャンピオン」なのである。 「去年は、最終的にプレッシャーが上がっていく中で勝てた。8戦のうち、ひとつ二つは落とすもので、去年も二つを落とした。8戦中、ひとつ(の負け)を使ってしまったが、残り5戦を取ればいいと思っている。今回は残念だったが、ランキングは3位にとどまっている。ポイント差は広がったが、まだ17ポイントくらいで、悲観するポイント差ではない。一歩冷静に考えれば、いい位置(3位)につけている。失敗に学ぶことは多い。まだまだ続く。最後まで応援をいただければ嬉しい」 次戦は、ブタペスト。世界を股にかける“求道者”室屋の戦いは続くのである。