葉加瀬太郎さん顔面麻痺を公表 「ラムゼイ・ハント症候群」の症状・治療法を医師が解説
ラムゼイ・ハント症候群の予防
編集部: ラムゼイ・ハント症候群を予防するために有効な手段はありますか? 和佐野先生: ラムゼイ・ハント症候群を予防するには、まず水痘帯状疱疹ウイルスに感染しないことです。まだ感染していない子どもには水痘ワクチンを接種することで、ラムゼイ・ハント症候群を予防できます。 水痘に感染しなければ、水痘帯状疱疹へルペスウイルスが顔面神経の神経節に潜伏することはありません。 編集部: 水痘にかかった大人はもう予防できませんか? 和佐野先生: 大人でも水痘ワクチンを接種することで、ラムゼイ・ハント症候群を予防できます。 すでに水痘にかかったことがあれば、ラムゼイ・ハント症候群を発症するリスクはありますが、水痘ワクチンを接種すると水痘帯状疱疹へルぺスウイルスに対する免疫力が高まるという研究結果があります。 予防接種を定期的に行うことができれば、加齢や体調不良で免疫力が下がってもラムゼイ・ハント症候群の発症を予防できるのです。 編集部: 日常生活で気を付けておくといいことはありますか? 和佐野先生: ラムゼイ・ハント症候群を予防するためには、免疫力を高めるように普段から規則正しい生活を送ることが重要です。また、ストレスや過度な運動は免疫力を低下させて水痘帯状疱疹へルぺスウイルスが暴れだすきっかけをつくる可能性があります。 睡眠不足や過労などを避け、定期的にリフレッシュやリラックスできる時間をつくって、身体と心を休めるようにしましょう。 また、糖尿病になると免疫力が低下して感染症にかかりやすいことが分かっています。栄養バランスの良い食事を摂ることもラムゼイ・ハント症候群の予防につながるでしょう。 ビタミンやたんぱく質を摂ると、代謝が上がって免疫力をサポートしてくれます。また、発酵食品や食物繊維を積極的に摂ると、腸内環境が整って免疫力の向上につながります。
編集部まとめ
ラムゼイ・ハント症候群は治療が早ければ早いほど、完治できる可能性も高くなります。症状の特徴を見抜ければ、早く耳鼻科を受診して適切な治療を受けられます。 もし後遺症が残っても受けられる治療はありますが、そもそもラムゼイ・ハント症候群を発症させないことが大切です。 ラムゼイ・ハント症候群の後遺症で悩まないためにも、子どもには定期の水痘予防接種を受けてもらい、日常生活でも免疫力を高める行動を意識してみましょう。
【この記事の監修医師】 和佐野 浩一郎 先生(医師) 慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。2018年より独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部室長。日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医・補聴器相談医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本耳科学会耳科手術暫定指導医、頭頸部がん専門医・指導医、日本がん治療認定医機構日本がん治療認定医、日本気管食道科学会気管食道科専門医。
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