葉加瀬太郎さん顔面麻痺を公表 「ラムゼイ・ハント症候群」の症状・治療法を医師が解説
ラムゼイ・ハント症候群の治療方法について
編集部: 早期治療できたときの完治率や完治するまでの期間は? 和佐野先生: ラムゼイ・ハント症候群では早期治療によって予後が左右されます。発症してから7~10日間かけて顔面神経はどんどん変性していくので、7日以内に十分な治療を行うことが大切です。 回復できるかどうかは、症状が最も重いときの症状の程度が関係します。早い段階で治療ができ、麻痺が軽度ならたいてい1~2カ月程度で治ります。 顔の片側をまったく動かせない重度の麻痺だと、完治できるのは60~70%程度です。一般的には治りやすいのは発症から3カ月以内ですが、半年から1年以内でも回復する可能性はあります。 顔面麻痺の後遺症では、目を閉じると口が一緒に動く病的共同運動やけいれんなどは見た目に異常が分かるため精神的につらい状況を引き起こす可能性が高いでしょう。めまいは1~2カ月程度で改善するものの、難聴は完治しないこともあります。 編集部: どんな治療が行われますか? 和佐野先生: 早期の治療はウイルスに対する薬の投与で、ステロイドと抗ウイルス薬を使います。水痘帯状疱疹へルぺスウイルスには一般的に「バラシクロビル」や「アシクロビル」が投与されます。 軽度の症状であれば外来通院で内服治療を行いますが、症状が重度の場合には入院して点滴治療が可能です。10日以内に適切な治療を開始できれば、顔面神経麻痺を比較的軽く抑えることができます。 しかし、ラムゼイ・ハント症候群を発症した人の約半数は後遺症が残ってしまうため、回復期にはリハビリが必要です。リハビリは病的共同運動やひきつれの症状を予防するのが目的で、神経障害がある方にだけ行います。 編集部: 後遺症が残ったらどうなりますか? 和佐野先生: ラムゼイ・ハント症候群の顔面神経麻痺の症状が重症だと病的共同運動やけいれん、ひきつれなどを起こすことがあります。ほかにも、めまいや難聴などが残っていると、人とのコミュニケーションだけでなく、車の運転などの日常生活に支障がでてしまうことがあります。 顔面神経の後遺症にはボトックス注射や形成手術といった治療法があります。ボトックス注射は外来通院で受けられ、効果が持続する2~5カ月おきに治療が必要です。形成手術は緊張している表情筋を切除する方法ですが、治療を受けられる医療機関は限られています。