京都U-18、今季初の無失点勝利でクラブユース選手権へ
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関西1部は29日に第9節を実施。KYOTO TACHIBANA STADIUMで行われた京都サンガF.C. U-18(京都)と履正社(大阪)の一戦は、DF6坂川賢祐(3年)の先制点を皮切りに得点を重ねた京都が3-0で勝利した。 【フォトギャラリー】京都サンガF.C. U-18 vs 履正社 「クラブユースのエストレラ姫路戦、前節の京都共栄戦と今節の履正社戦は勝たなければいけない試合だった。監督からもプレッシャーをかけられていて、『ここで勝たないともうプレミアには行けないぞ』と言われていた」。MF8石本泰雅(3年)の言葉通り、6月に入ってからの京都は全国大会への出場権をかけたクラブユースサッカー選手権大会(U-18)関西地区予選、プリンスリーグ関西1部の前期残り2節と負けられない戦いが続いていた。 今季の行方を占う3連戦で2勝し、迎えた今節も試合の入りは順調だった。試合のポイントになったサイド攻撃。狙いについて石本はこう明かす。「履正社は3バックだったので、脇を取っていこうという練習をずっとしていた。相手の中盤は人が多いので、サイドに付けてSBが(外側を)回ったり、サイド攻撃を意識して練習しました」。 キックオフと同時にFW9西岡佑真(3年)が左前方に飛び出し、CKを獲得するなど立ち上がりから京都が攻め込むと前半20分にはハーフウェーライン左でボールを持ったMF11柴田了祐(3年)が切り返しから中に展開。受けたMF10立川遼翔(3年)が左前方にボールを流す。そこから坂川が西岡との連携でPA内に入り込むとゴールの隅に流し込んで京都が均衡を崩した。 続く28分にもSBの思い切りの良い攻撃参加から得点が生まれる。左前方で立川がボールキープからクロスを上げると反応したのは右SBのDF3三宮稜大(3年)。「良いボールが上がってきた。狙ったという感覚はなかったのですが、とりあえず相手に競り勝つことだけ考えていた」と無我夢中で合わせたヘディン弾が決まり、リードを2点差に広げた。 後半に入ってからも京都の勢いは止まらず、後半8分にはMF15酒井滉生(2年)が放ったシュートのこぼれ球を西岡が押し込み、試合の行方を決定づけたが選手に気の緩みは見られない。今季すでに2度対戦しているG大阪ユースとの試合はともにアディショナルタイムの失点で引き分けに終わっている。プリンスリーグでもここまで無失点で終えた試合は1度もなく、クリーンシートでの勝利がこの日課せられたミッションだった。 「相手はサイドハーフに特徴のある選手がいると分かっていた。自分がそこを止めなかったら、しんどい試合になると思いながらプレーしていた」。そう振り返る三宮が対面した履正社のMF10木村有磨(3年)と上手く駆け引きをすることで仕事をさせない。 後半半ばからはポジションを前線に移した木村にDFラインの背後を取られる場面もあったが、チーム全体で粘り強く対応し、無失点のまま試合を終えた。「試合の終わらせ方は全員で意識していた。ノーリスクで行こうって。今日も1失点するか、しないかは今後のリーグ戦の成績や得失点に関わってくると思う」。石本の言葉通り、今季初の無失点勝利は今後の戦いに大きく左右しそうだ。 プリンスリーグは今節で中断を迎え、7月末から始まるクラブユース選手権に向かっていく。「クラブユースは広島や鹿島などプレミアのチームばかりでトップチーム昇格が決まっている選手もいる。自分たちはチャレンジャーだと思うので、そこにどう食いかかっていくか。失うものはないと思うので、しっかりチャレンジャー精神を持って全員で高め合いたい。初戦の広島戦を超えたら絶対、勢いに乗れると思うので、まずはグループリーグでの1位突破を目指しています」。そう意気込むのは石本で、負けられない3連戦で得た収穫を生かし、上位進出を目指す。 (文・写真=森田将義)