「再エネ5重投資」で電気代は上がるばかり 政府は再エネにかかる本当のコストを示すべきだ
■ 政府は本当のコストを示せ 以上のように、再エネの大量導入によって、再エネ賦課金以外のコストも増大するが、政府はこれをきちんとまとめて示していない。 現行の第6次エネルギー基本計画の進捗を測る指標としても、電気代のうち再エネの買い取り費用と化石燃料の費用だけを合計して「電力コスト」と呼んでいるが、これは本来の意味の電力コストではなく、著しく矮小化されたものだ。 本来であれば、政策を評価するためには、仕上がりとしての「電気代」の合計を指標としなければならない。 慶応義塾大学の野村浩二教授の推計では、この電気代の合計は年間21兆9000億円(注:政府の光熱費補助でこれより6000億円軽減している)となっている(図2)。 このうち少なくとも再エネ賦課金の2兆8000億円は再エネによるものだが、本稿で指摘した一連の費用を含めると、いったい再エネの費用は幾らなのか? それはこれから、どの程度上昇していくのか? その詳細な検討なくして、政府は再エネ大量導入を続けるべきではない。 最近、筆者は有志とともに「非政府エネルギー基本計画」を発表した。そこでは、電気代を東日本大震災前の2010年水準(キロワットアワーあたり産業用14円、家庭用21円)に戻す目標を掲げている。 政府はいま検討している第7次エネルギー基本計画において「電気代」を指標に据え、いくらまで下げるのか、数値目標を立てるべきだ。
杉山 大志