几帳面でも神経質でもない自分がなぜ…うつと診断されるまでに感じた違和感
うつ病は誰にでも起こり得ること
集中力が落ちたり、無気力になったり、イライラしたり、自分を責めてしまったり……。職場、家族、友人知人、そして自分自身にそんな兆候はないだろうか。 それはうつのきざしかもしれない。 【漫画を読む】几帳面でも完璧主義でもない”私”がうつになったワケ WHOによると成人の約5%、世界では約2億8000万人がうつ病を患っているという。うつ病は、男性よりも女性の方が約50%多く見られ、特に妊娠中の女性や出産直後の女性の10%以上がうつ病を経験しているという。 うつ病が原因で亡くなる人は毎年70万人以上にもなり、WHOのサイトには「うつ病は誰にでも起こり得ます」とある。 うつは誰にでも起こる「病」なのだ。 だが、実際にもし自分がそうかもしれないと感じたら、どうしたらいいのだろう。 昨年11月に出版された『誰でもみんなうつになる』(ハラユキ著/KADOKAWA)は、うつとは無縁と思っていた著者が自身のうつ状態に気づき、回復の道を探っていくことで、うつを知ることのできるコミックエッセイである。
厄払いですっきりするはずが…
2022年の秋、だるさが続き、やる気が持てなくなった著者のハラユキさんは、知人から「そんなときは『お祓い』!」と勧められ、お祓いをお願いする。 うつ病でお祓い? と思うかもしれないが、この時点でハラユキさんは自分がうつ病になるなんて、まったくの想定していない。かといって普段は「厄払いすら行ってない」ほど、占い、神頼みとも無縁だった。 だが予想外の出来事が重なり、納得できなくなったハラユキさんは、本書担当編集者の加藤さんに相談する。 結果的にそれがうつ病に気づくきっかけとなり、この本の出版につながったのだが、本書ではうつだと理解した著者がとことん自分と向き合い、頼れる外部にも手を伸ばしながら、解決を探す道のりを克明に描いている。 前編では著者のハラユキさんへのインタビューと、漫画の試し読みをご紹介する。
仕事も家庭も細かいストレスが多い
――2022年の秋に発症されたとありました。本の中では専門医から「突き詰めて考えすぎないほうがいい」とありましたが、「うつになるほど」の原因が思い当たらない、なんてことはあるのでしょうか。もしくは、思い当たるほどの原因がなくても「なる」時は「なる」というものなのでしょうか。 たとえば「適応障害」は、上司のパワハラとか過労とか、明らかな原因によって発症するものですが、「うつ病」は原因がハッキリしなくてもなることはあるそうです。 実際私も、うつになるほどのストレスはないと思っていました。 でも、あとでよく考えたら、仕事も家庭も細かいストレスが多い時期だったんですよね。 ひとつひとつはたいしたことなくても、積み重なったのが大きかったんだと思いました。私みたいに「原因は思い当たらないのではなく、気づいてないだけ」ってパターンの人も実は多いのではないかと思います。 ――ご自分が完璧主義でも神経質でもないから、性格的にうつ病になるなんて意外、と描かれていました。明るい、社交的、大雑把など性格には関係なく、誰にでも可能性があると思われますか。 誰でもなるものだと思いますよ。 実際に、私がこの本を出したら、私から見て「なりそうにない」と思える人から「実は私も……」って体験談や告白をたくさん教えてもらってビックリしました。 あと、「うつ病」じゃなくても「うつ状態」になる原因ってたくさんあるんですよね。 本にも描きましたが、更年期障害でもコロナ後遺症でもうつ症状がある。 いろんな人の話を聞けば聞くほど、取材すればするほど、「誰でもみんなうつになる」と思うようになりました。