もしも三島由紀夫が湊かなえの『人間標本』を舞台化したら……
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(1月9日放送)に小説家の湊かなえが出演。最新作『人間標本』について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。1月8日(月)~1月12日(金)のゲストは小説家の湊かなえ。2日目は、『人間標本』で描かれるテーマとその芸術性について― 黒木)2023年12月に『人間標本』が出版されました。私は「イヤミス」とは言いたくありませんが……。 湊)ツラミス、うーん、何だろう。 黒木)辛いミステリーで「ツラミス」はいいかも知れませんね。イヤミスというのは、嫌な気持ちになるミステリーのことではないですか。だから「辛い気持ちになるミステリー」があってもいいですよね。それにしましょう。 湊)切ない、「セツミス」とか。 黒木)この本は切ないですよね。読み進めていくと、切ないボタンの掛け違いというか、相手を思いやっているからこそボタンを掛け違ってしまうのですよね。そのようなところが次々と詳(つまび)らかに明かされていくので、切なかったです。 湊)やはりミステリーなので、何度も何度も驚かせたい。「アッ」と言う驚きもあるかも知れませんが、それよりは段階を追って胸を「ギュッ」と掴まれるような畳みかけ方をしたいなと思いました。 黒木)美しいものを美しいままという意味では、江戸川乱歩の『黒蜥蜴』があります。これは三島由紀夫が最初に脚本を書かれて芝居化したのですよね。「三島さんがあの本に惚れて」という解説を読んだのですが、三島由紀夫さんだったら『人間標本』をどのように脚色なさるだろう、と勝手に想像してしまいました。 湊)もう1つのテーマが芸術、絵の才能というギフトに触れるものです。「絵の才能」と言ってもそれぞれあって、どこを追求するのか……。標本にされていく少年たちもそれぞれギフトを持っているので、もし三島さんがいらっしゃったら、その1人ずつのギフトが際立つように演出して、芸術性の高い舞台になっていたのかなと思います。 黒木)湊さんの小説はデビュー作『告白』から、数多く映像化されています。『人間標本』も映像にしたいという方が出てきたら面白いですね。 湊)ぜひ、お待ちしています。