「あれっ、年金が少ないような…」通帳記帳した66歳元会社員“振込額30万円”を疑問視。年金事務所で尋ねると…まさかの100万円ゲット!〈忘れられがちな年金〉の正体【FPの助言】
オレの年金、少なくないか?
帰宅したAさんは早々に通帳の記帳をして年金の振込額を確認しました。一回の振込で30万円ほどなので月額にすると15万円ほど、思ったより少ないことにがっかりしました。しかし、「うーん……。それにしても少ないような」と疑問を感じます。 日本年金機構から通知書が届いたのは知っていましたが、見てももらえる金額は変わらないしね、と家のどこかに放置、いや、ひょっとしたら捨ててしまっていたかもしれません。 探すのも面倒なので、いよいよ年金事務所へ話を聞きに行くと腹を決めました。というのも自分以外の仲間は、しっかり年金事務所に行って相談してきた、と言っていたのです。このままではマズいと焦る気持ちに火がつきました。 年金手帳片手に年金事務所へ…基金代行額が発覚 年金手帳を片手に相談窓口を訪れたAさん。気になっていた年金記録を確認してもらうと、漏れはなく、まずはひと安心です。 次に企業年金について聞いてみました。仲間たちが口々に企業年金があってよかったと言っていたからです。すると、Aさんの「年金見込額回答表」を見ながら『基金代行額13万7,294円(参考)』と記載があるので、くわしくは企業年金連合会に問い合わせてみるようにとアドバイスをもらえました。 企業年金とは、会社が掛け金を負担して公的年金に上乗せする形で支給する年金のことをいいます。いくつか種類がありますが、そのなかでも厚生年金基金などは忘れられがちな年金の1つといわれています。令和3年度からねんきん定期便に基金代行額を含んだ金額が記載されるようになりましたが、国からの支給ではないため注意が必要です。 特にAさんのように転職歴が多く、1つの企業での勤続年数が短い場合、企業年金連合会に年金資産が移されている可能性が高いのです。 嬉しいサプライズ、もらい忘れで100万円が! Aさんが企業年金連合会に問い合わせると、2つの会社の在職時の厚生年金基金が移換されていることがわかりました。合計13年ほどの加入期間で、年額約32万円に上ります。 1958年(昭和33年)生まれのAさんの場合、本来は63歳から受け取れたことになります。年金の受給権には時効があり、5年を過ぎると原則受け取れないのですが、期限内のため、さかのぼって3年分もらえることになりました。 総額約100万円、そして今後は年額32万円が増額するのですからありがたいものです。「セーフでしたね。期限を過ぎていたらと思うと……。もしあのとき年金事務所に相談に行っていなければ、損してしまうところでした」と、企業年金連合会を案内してくれたことに心から感謝したAさんでした。