医療費の負担を軽減できる? 「高額療養費制度」ってどんな制度?
年齢を重ねるごとに、医療費の支出が増加してくることが一般的です。入院や手術など一時的に増加するケースや、複数回の通院により増加するケースなど、人それぞれで状況はさまざまでしょう。そのようなときに、自己負担限度額を超えて支出された医療費を払い戻してくれる制度が「高額療養費制度」です。 この記事では、高額療養費制度を適用する上でのルールや、世帯合算、多数回該当の適用例などについて確認してみたいと思います。
自己負担額の合算ルール
高額療養費の計算の基礎となる「医療費の合算ルール」は、医療費をひと月ごとに以下の4つの基準に沿って分類し、それぞれの金額を集計して、それを合算して算出するというものです。 (1)受診者ごと (2)医療機関ごと ただし、院外処方せんの薬剤費は、処方せんを発行した医療機関の分と合算することができます。 (3)医科、歯科ごと レセプト(医療機関から医療保険に提出する診療報酬の請求書)ごとに集計するため、同じ医療機関でも医科と歯科の医療費は別になります。 (4)入院、外来ごと 同じ医療機関で同じ診療科でも、入院と外来は別に集計します。 つまり、高額療養費の自己負担額の計算は、医療費の領収書を医療機関ごとに分類し、さらに医科・歯科ごとに、入院・外来ごとに集計し、合算して計算します。ただし(2)~(4)については、おのおののひと月ごとの自己負担額が2万1000円以上(70歳未満の場合)の場合にのみ、合算することができます。
自己負担限度額とは
自己負担限度額とは、年齢や所得に応じて定められている、患者ごとに支払う医療費のひと月ごとの上限額のことです。この記事では、「国民健康保険に加入しており、70歳未満で、自己負担額が3割負担」である方の事例について、見てみたいと思います。 【70歳未満の方の、ひと月の自己負担限度額】
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 から筆者作成 ※旧ただし書き所得とは、前年の収入から必要経費、給与所得控除、公的年金等控除および住民税の基礎控除等を差し引いた額のことです。 受診者によってひと月ごとに合算された自己負担額と、上記の所得ごとに定められた自己負担限度額を比較して、超過額が後日支払われることになります。