親中国家・オーストラリアがついに反旗を翻す! かと思いきや、途切れなかった「蜜月関係」
両国首相が笑顔で握手。一転して近づく豪中関係
ところが、2023年9月ASEAN首脳会談時に、アルバニージ首相が中国の李(り)強(きょう)首相との非公式会談で年内に訪中する意向を伝えたことが報じられました。実際にそれは実現し、同年11月の中国輸入博では両首相が笑顔で握手する様子が伝えられます。豪首相の訪中は7年ぶりのことでした。 中国側は、過去数年にわたる米国から貿易関係希薄化に向けて二国間経済関係の再構築をされることに反発しており、そんな中で、中国の対外経済開放をアピールする場と位置づけられる中国輸入博の開幕式に、米国と距離が近くファイブアイズ(米英加豪NZ五カ国による越境インテリジェンス共有枠組)の一角を担う豪州の首相がにこやかにやってきたことを喧伝できたことは、対米牽制の意味でも嬉しかったことでしょう。 中国側がエコノミック・ステイトクラフトを発動し豪州産ワイン輸入規制をかけた際には、SNSで豪州産ワインを買ってオーストラリアを応援しようというキャンペーンまで賑わったものですが、あれを応援した私たちは何だったのか、と思うほどです。安全保障では中豪関係は引き続き厳しいものですが、経済面では一気に雪解けに転じ、アルバニージ首相は訪中の際に習近平国家主席との首脳会談も実現させています。 続く記事【中国の「一帯一路」構想はもはやオワコンか…その「驚きの実態」が見えてきた】では、アメリカを凌駕するための中国の構想について、その実態を解説しています。
中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)