アパも参入! 温泉やリゾートに続々登場…ホテル・旅館の「オールインクルーシブ」は結局お得なのか?
予約サイトで人気のオールインクルーシブ宿は…
「楽天トラベル」では、’24年春に国内で人気が高いオールインクルーシブの宿泊施設を発表している。その内容は、 第1位_焼津温泉 焼津グランドホテル(静岡) 第2位_北こぶし知床 ホテル&リゾート(北海道) 第3位_里創人 熊野倶楽部(三重) 第4位_松島温泉 湯元 松島一の坊(宮城) 第5位_作並温泉 ゆづくしSalon一の坊(宮城) 第1位の【焼津温泉 焼津グランドホテル】(静岡県)は、宿泊者専用ラウンジでアルコールを含むドリンク各種や軽食を時間帯ごとに提供し、食事時のドリンクも無料、プールやテニスなどのアクティビティも楽しめる。第2位の【北こぶし知床 ホテル&リゾート】(北海道)は‘23年4月にオールインクルーシブホテルに転換し、ラウンジでのアイスやドリンクなどの提供、ジムなどが無料利用できる。第3位の【里創人 熊野倶楽部】(三重県)は全室がスイートで、ドリンクやおつまみがラウンジで自由に堪能でき、食事時にはアルコール含め全ドリンクが無料だ。 また、「楽天トラベル」では、今年7月に、子ども連れ向けの人気宿泊施設も発表しているが、その中で、 ’24年の夏の旅行動向として、オールインクルーシブのプラン予約泊数が前年同期比で約3.7倍増加し、特に子ども連れ利用が前年同期比約6.5倍になったとレポートしている。このレポートでは、オールインクルーシブプランがある宿泊施設が人気を集めている理由として、子ども向けのサービスが充実し、家族で安心して楽しめるからと分析している。 ランキングの上位に紹介されているのは、【1000Mのおもてなし 八ヶ岳 ホテル風か】(山梨県)、【焼津温泉 焼津グランドホテル】(静岡県)、【TAOYA秋保】(宮城県)などで、いずれの施設も温泉地や人里離れた地域や離島などが多い。そのような場所でも、食事をする場所を探したり、移動したりすることを考えずに済むオールインクルーシブの宿泊施設は、たしかに、子ども連れの旅行では重要な選択ポイントになるだろう。 ◆日本でも普及するか…専門家の見解は? コロナ後、インバウンド人気もあり、国内のホテル・旅館などは宿泊代金が軒並み上がっている。しかも今、日本人の旅行は海外だけでなく国内も実は減っている。 観光庁が今年9月30日に発表した宿泊旅行統計調査で、’24年8月の延べ宿泊者数が6611万人泊で日本人延べ宿泊者数は5330万人泊、’19年同月比は▲0.8%で、4ヵ月連続のマイナスだった。日常生活における物価高、さらに旅費も上がるとなると、国内旅行すら厳しい状況だ。 その最中で、「すべて込み料金」というお得感をアピールし、国内に続々登場するオールインクルーシブの宿泊施設やプラン。 「オールインクルーシブは、宿泊施設のハードの部分でなくソフトを変える、つまりサービスの提供方法と精算方法を変更することなので、導入のしやすさで今、増えている側面も確かにあります。 ただ、数が増えてくると競争が生まれるわけで、宿泊客の満足度を得るため、サービスの質はレベルアップしてくるでしょう。そういう意味で今後、日本国内でもオールインクルーシブが定着する可能性は十分あります」 ▼井村日登美 ホテルジャーナリスト、ホスピタリティ研究所エイチ・ワン代表。 辻学園調理技術専門学校、トラジャル旅行ホテル専門学校、駿台観光&外語専門学校、西武文理大学の非常勤講師。 著書は『ホテルルームメンテナンスの基本』『旅の達人がすすめる関西の宿』ほか。 オールアバウト「関西のホテル」ガイドも務める。 取材・文:シカマアキ
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