アパも参入! 温泉やリゾートに続々登場…ホテル・旅館の「オールインクルーシブ」は結局お得なのか?
「オールインクルーシブを導入する施設は本来、富裕層向けで、宿泊代金も高めです。上質なホテルライフを楽しむのに高くて当たり前と考える客層をターゲットにしています。 オールインクルーシブでも、アルコール類を含めたドリンク類の種類が少ない。ブッフェで料理の種類は多いが食べたいと思うものが少ない。スタッフのサポートが行き届いていないなどお客さんが不満を感じた場合は、いくら宿泊費がお手頃だとしても満足度が低くなってしまいますよね」 その満足度を高めるのは、ホテルの「ソフト」の部分、つまりサービスの内容が非常に重要という。それぞれのサービスを強化するにつれ、宿泊の単価は必然的に上がる。 「しかし、最近オールインクルーシブを導入する施設は、流行もあって『とりあえずやってみよう』という考えも見受けられます。 オールインクルーシブはハードとソフトを含めた宿全体のバランスが大事で、ハードとソフトにギャップがあると面白くなくなります。 たとえば、『お風呂上がりにアイスキャンデーをどうぞ』と言いながら、数が少ない、小さい、種類がない……。せっかくお風呂に入って極楽気分になっているのに興ざめする、なんてこともあります。 滞在する時間を十二分に楽しんでもらう、また楽しませる仕掛けが欲しいですね。そのためには細部まで徹底して作り込まないと満足感は得られず、リピーターには繋がりにくいでしょう」 オールインクルーシブのホテル・旅館を選ぶ際、失敗しないためにどうすればよいか、また、実際にオールインクルーシブがお得なのかなど、井村さんはこうアドバイスする。 「予約する前にその施設について必ず調べること。オールインクルーシブが、お得かそうでないかは、人それぞれ。 例えば、アルコールを飲まない人だと損する気分になっても、それに代わるノンアルコールドリンク、地元の果実を絞ったジュースなどが充実していれば、満足度は高くなるでしょう。そこまでカバーできている宿泊施設かどうか見極めることが大事です」 ◆ホテルジャーナリスト井村さんお勧めの宿は… 井村さんに国内でのおすすめのオールインクルーシブの宿泊施設を聞くと、まず挙がったのが、北海道の小樽にある【小樽旅亭 藏群】。19室の客室は内装から1室ずつ異なり、温泉も楽しめる隠れ家のような人気の高級宿だ。「夕食後にバーへ行き、飲み足りないなと思っていたら、スタッフが『部屋までお持ちします』と。そういったさりげない心遣いまで含めてオールインクルーシブだと感じました」と語る。 ほかに【セトレマリーナびわ湖】もおすすめという。「わずか14室の宿ですが、マリーナにあり最高のロケーション。ラウンジでのドリンクはオールフリー。この『セトレ』シリーズは、現在、琵琶湖以外にも5軒ほどあり、宿泊客専用ラウンジ、ライブラリー、レコードを聴くなどもオールフリーです。料金体系は料理のチョイスにより変動しますので、ご確認ください」とのこと。 さらに、滋賀県にあるゴルフ場跡地を活用したグランピング施設【グランエレメント(GLAMP ELEMENT)】は、「料理が評判で、夜はクラブハウスにあるバーで楽しめます。女子大生の卒業旅行の利用が多いそうです。1棟貸しなので料金は高めに設定されていますが、人数割にすれば、リーズナブルになります」。