撮れ高あってもボケ続けるアンタッチャブル――冠番組が大事にする“無駄な笑い”の価値
■小峠英二も唸ったアンタッチャブルの笑い ――アンタッチャブルさんからもアイデアを出してくれるんですね。いち視聴者からすると、アンタッチャブルさんのロケは山崎さんがボケ続けている印象で、尺が足りなくなる心配がなさそうだと感じます。 確かに、その心配はないですね。先日、小峠(英二)さんがアンタッチャブルさんと一緒にロケをしたときに「すごい」と驚いていました。なんでもないところでも笑いを作ってくるから、どんどん撮れ高が生まれていって、なのにやめないという。小峠さんが一番驚いていたのは「カメラが回ってないのにボケてるところ」。しかも一人でやってるわけではなく、カメラが回ってないのに小峠さんを巻き込んでボケる。小峠さんが酔っ払って「山崎さんがボケ出したらスタッフがiPhoneでも何でも録画できるものを回し出すのがチームプレイですよね」と仰ってくれたのはうれしかったです。なので我々スタッフもどんな小さいものでも山崎さんが反応しそうなものは注意深くチェックしておくことをロケ中に心がけています。
■“アンタッチャブルの無駄な笑い”満載のドバイロケ ――先週と今週は、ドバイのロケを放送しています。11日に放送される2週目の見どころは。 1週目は、柴田さんがドバイの街を飛んだり、高いところに吊るされたりしていましたが、2週目も、空中レストランという高所でロケを頑張ってくれました。柴田さんは、尻込みしちゃうような体験でも、「一生に一回しかできないかもしれないし」という考えが勝って、楽しんでなんでもやっちゃうタイプなんですよね。高所が苦手な山崎さんは地上に残りますが、離れた場所から阿吽の呼吸で笑いを作る2人は本当にすごいと思います。OAを見たらすごさがわかると思いますが、打ち合わせを何もせずにあのやり取りができるのはお互いを信頼してる2人だからこそだと感じます。 なかなか取材できない「アトランティス・ザ・パーム」という5つ星ホテルにも潜入しました。アンタッチャブルさんはもともとロケがすごくお上手ですが、アトランティスのような超高級で高貴な場所でのふざけぶりが抜群。スイートルームでの2人のやり取りは、高校生の修学旅行のようでとてもほっこりします。柴田さんの危機管理能力にも驚きのポイントがあるので、是非注目してください。 ――ドバイロケで改めて感じたアンタッチャブルさんの魅力を教えてください。 ロケや編集を通して、自分は何より「アンタッチャブルさんの無駄な笑い」が好きなんだなと再認識することができました。最初はドバイの世界一の派手な画をテンポよく見せていく構成を予定していたのですが、少しバランスを変えて、本編と全然関係のない、アンタッチャブルさんらしいやりとりをあますことなく詰め込んだドバイロケになったのではないかなと思っています。 小峠さんが言っていたとおり、アンタッチャブルさんは、なんでもないところでも笑いを作れるすごいコンビ。そして番組でも、アンタッチャブルさんのそんな魅力を大事にしたいと考えています。ドバイロケでは特に色濃く出ていると思うので、ドバイの派手な画と共に、終始楽しそうな2人を見て、ほのぼのとした気持ちになっていただけたらうれしいです。
■横田幸介 1987年生まれ。愛知県出身。11年、関西テレビ放送に入社し、営業セクションを経て15年に制作セクションへ異動。『有吉弘行のダレトク!?』『マルコポロリ』『おかべろ』などでディレクター、20年から『マルコポロリ』で総合演出を担当。特番『パンドラTV』の4度の放送を経て23年4月よりレギュラー化を果たした『アンタッチャブるTV』、現『アンタッチャブルの早速行ってみた』の総合演出を務める。
八木ひろか