「排水悪く、粘土質、露地栽培」 シャインマスカット開花異常 発生しやすい園地
農研機構「複数要因が重なって」
農研機構は6日、ブドウ「シャインマスカット」の開花異常(未開花症)の調査結果を示し、症状が多発した園地の傾向に①排水性が悪い②粘土質の土壌③露地栽培──などを挙げた。同機構はその他にも複数の要因が重なって症状を引き起こしているとみており、今後も研究を続ける。 23年産でシャインマスカットの開花異常の症状がみられた府県 茨城県つくば市で開いた果樹茶業研究会で、発生県の生産者を対象にしたアンケート結果を公表。全体の30%以上で症状が出た園地の傾向を整理した。 園地の立地や剪定(せんてい)方法、樹齢、かん水、施肥などに加え、一部産地が原因とみていた着果量の過多は、開花異常の発生と関連性が確認できなかったとした。 山梨、長野など主産県の発生園地の現地調査でも、アンケートと同様、開花異常が発生した園地は水はけが悪い場所が多かった。未発生園と比べて、水分や養分を土から吸収する細根が少ない特徴もみられたという。 同機構や複数県は、開花異常が発生した園地は翌年以降も症状が出やすい傾向にあるとも報告した。長野県では、2016年に発生後、8年連続で症状が出た園地があったとした。 開花異常を巡る問題は、本紙「農家の特報班」の調査で、主産23道府県のうち15県で発生していたことが判明していた。
<ことば> 未開花症
5、6月の開花時期になっても、雌しべと雄しべを覆うキャップ状の「花冠」が外れない症状を指す。発生すると花が落ちたり、果実が肥大しても形がいびつになったりする。原因は分かっていない。
日本農業新聞